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キャロル・S・ドゥエック「やればできる!」の研究

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今、処分する本を選んでいて、思い切ってかなり少なくしています。
今回、処分した本の1冊になりましたが、ボクにとても影響を与えてくれた本を紹介します。

キャロル・S・ドゥエックの『「やればできる!」の研究』です。
こちら→「やればできる!」の研究―能力を開花させるマインドセットの力

彼女はスタンフォード大学の心理学教授です。
マインドセット(信念)の研究をしている学者です。

この本を読んで信念の大切さを知り、心理学に強い興味を持つきっかけとなりました。
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余談ですが、アマゾンのリンクを貼ろうとアマゾンページを見ると、「お客様は2010/7/25にこの商品を注文しました」と出ていました。
このころは「信念」についてまったく知識がなくて、この本に出会って信念をもっと知りたいと思うようになりました。
もう5年も経つのですね。
でも、5年でここまで理解できるようになったのは自分でもびっくりです。
その翌年の溝口あゆかさんとの出会いが大きかったです。

さて、本書ですが、単純な信念が、いかに人生を大きく左右しているかが分かります。

アメリカ超一流大学の教授の研究結果なので説得力があります!

ドゥエックはある単純なマインドセットによってどれだけ行動が変わるかを実証しました。
本書で「こちこちマインドセット」と呼ぶ信念は、「能力は固定で変わらない」というもので、
「しなやかマインドセット」と呼ぶ信念は、「能力は努力次第で伸ばすことができる」というものです。

この信念の違いが果たしてどれだけ影響を及ぼすのでしょうか??

たとえば、学校の成績。
中学入学時点ではまったく差がありませんでしたが、こちこちマインドセットの生徒たちは成績が落ち続け、しなやかマインドセットの生徒たちは成績がアップし続けました。

ドゥエックはある実験をしました。
思春期初期の子供たち数百人を対象に、知能テストを解かせ、終わった後で褒め言葉をかけました。
1つのグループ(Aグループ)には「まあ、8問正解よ。よくできたわ。頭がいいのね」と。
もう1つのグループ(Bグループ)には「まあ、8問正解よ。よくできたわ。がんばったのね」と。

Aグループは能力を褒められ、Bグループは努力を褒められました。

その後、行動に変化が現れました。
Aグループは新しい問題にチャレンジすることをやめたのでした。
一方、Bグループは9割が新しい問題にチャレンジしました。

その後、わざと難しい問題を出しました。

すると、Aグループの成績はガクンと落ち、再びやさしい問題が出されても、成績は回復しませんでした。

結果として、能力を褒めると生徒の知能は下がり、努力を褒めると生徒の知能は上がりました。

Aグループは自分の能力を疑われることをやりたがらなかったので、問題にチャレンジすることをしませんでした。そして、難問にぶつかった後は、自分の能力がないからだと信じ、テストの点も下がったのでした。
Bグループは難問が出されても、もっとがんばらなくっちゃと捉え、解けないことを自分の頭のせいにしませんでした。問題を解くこと自体が楽しみになり、成績がアップしたのです。

人間関係も「こちこちマインドセット」と「しなやかマインドセット」で差が出ます。

たとえば、恋愛・結婚。
こちこちマインドセットの人は、パートナーは理想の相手だと信じています。
問題が起こると、相性が悪いからだと別れてしまいます。

しなやかマインドセットの人は、パートナーシップには努力が不可欠だと信じています。
なので、意見や価値観の違いがあっても、努力で乗り越えていきます。

ごく一部のエッセンスしか紹介できませんでしたが、この本に出会えて本当に良かったと思っています。
信念が自分の人生に大きな影響を与えることがよく分かりました。

ただ、本書の欠点というわけではないのですが、「ではどうすればいいの?」という点をもっと知りたいと思うようになりました。

研究者の特徴として、実証することは得意で論理的に提示するのですが、「じゃあ、どうやって信念を変えるのよ!」ということはほとんど言及しません。
これまでたくさんの本を読みましたが、研究者の処方箋は、それまでの論理展開と比べて一気にキレがなくなり、陳腐なものになります。

そして、その後、自己啓発系の本をたくさん読み、信念を変える手法を学びましたが、これも同じくらい陳腐なもので、満足できませんでした。

満足できたのは、セラピーと出会って実践した後のことです。

その過程で、信念を変えるために最も大事なことは、持っている信念の奥に抑圧している感情(恐怖など)を緩めることだということを実感しました。
そのとき、古い信念はどうでもよくなります。

以前は、「Aという信念をBに書き換える」というアプローチを想像していましたが、そういうのは実際には無理があります。心の原則として「無意識に抑圧したものは強く現れる」というものがあり、Aという信念を抑圧することになりかねないからです。

脱線しましたが、信念が人生に与える影響を知りたい方にはオススメの一冊です。

ABOUT ME
西川佳宏(よっし~)
西川佳宏(よっし~)
境界線専門カウンセラー。境界線(バウンダリー)専門・心理カウンセリング「セルフコンパス」代表。 会計事務所・外資系証券会社・医療設備メーカーでの10年超の会社員経験を経て、2012年6月にセルフコンパス設立。英国HOLISTIC HEALING COLLEGE Integrated Counselling Diploma取得。心理カウンセラーとして境界線を適切に引くためのサポートを提供。 特に効果が高いのが人間関係の悩み、自己肯定感が低い悩み、過剰責任感・完璧主義の悩み、罪悪感の悩み、HSPの悩み、不安・恐怖の悩み、うつ・不安障害の悩み。 柔らかな雰囲気に加え、こころの悩みの本質をやさしく説明するのが得意。プロフィールの詳細はこちら

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