人前で話すのが得意な人ほど、ボクがうらやましく思っていた人はいません。
ボクは過度のあがり症でした。
自己紹介とか、もうとんでもなくあがってしまいます。
面接なんて大嫌いでした。
ボクは就職活動のとき、自己紹介で自分の名前しか答えられなかったことがあります(-_-;)
頭が真っ白になって、言葉が出てこないのです。
あがり症のエピソードを紹介するとキリがないほど、たくさんあります。
今はだいぶ克服しました。自分を癒してきたおかげです。
あがり症は実は練習で克服するのはとても難しいです。
ボクは人前で話す機会があったときは、猛烈な準備をしました。なぜかというと恥をかきたくなかったからです。
だから、すさまじい練習をするのですが、そもそもあがり症だから、練習の効率がものすごく悪いのです。
社内の会議で1分話すことが分かっているとき、その練習のために3時間かけたことがあります。
3時間かけないとその1分が話せないのです。
誰もいない部屋でリハーサルしているのに、本番を想定すると緊張して間違います。覚えられません。極度の緊張状態は、極度に脳のパフォーマンスを低下させます。
だから、場数を踏んでも、効果がないとは言いませんが、大きな効果は期待できないでしょう。
「あがる」という行為が起こるのはどういう心理メカニズムなのでしょうか?
ボクたちは、自己価値を上げたいという基本的な欲求を持っています。ボクたちの根本的な恐れは価値がなくなることです。自分の価値を失うことを守るために、エゴ(自己防衛機能)は必死で自分を守ります。
自分の価値が傷つけられると感じたとき、その感情を感じるのが恐ろしすぎて、脳は機能停止のアラームを出します。
「あがり」も自分を守るための防衛メカニズムなのです。
では、あがり症を克服するためにはどうすればよいのでしょうか?
ひとつは、過去のトラウマを癒すということです。
過去に人前で話して傷ついたことがあったはずです。そこで深く傷ついたために、同じような状況が想定されるときは、脳が過去の情報を検索して、機能停止を選択するのです。そのためにあがってしまいます。
過去のトラウマを癒すのはマトリックス・リインプリンティングというテクニックがとてもオススメです。
もうひとつは、傷つくことを恐れなくすることです。
仮に失敗して、笑われても、OKであれば、緊張は起こりません。
自己価値(自己愛、セルフラブ)が低いと、傷つくことを恐れて防衛機能が強くなります。
ボク自身、以前は自己愛が低い状態だったため、傷つくことが怖くて、防衛本能が強く働いたのです。
1分のことを話すの3時間かけるのは相当しんどい作業です。でも、そうまでしてがんばったのは、恥をかきたくなかったからです。恥をかいて自尊心を失うことのほうがよっぽど怖かったのです。言い換えればそこまで低い自己愛であったということです。
「お前は無能だ」
「お前は大したことないんだな」
「恥ずかしいやつだな」
「そんなのもできないのか」
そんなことを言われたり、思われたりするのが耐えられなかったのです。実はそれを心の奥底でそう感じてきたから(無意識のレベルで)。自分はダメだと深く思っていたから。だから、他人からそう言われるのが、当たっているだけに耐えられなかったのです。
でも、自己愛(セルフラブ)が高ければ、他人からどう思われようがあまり気になりません。自己愛が高い人の自己評価の基準は「他者」ではなく「自分」だからです。だから他人の目など気にしません。
そして、自己愛が高い人は失敗を恐れません。失敗しても傷つく度合いが少ないからです。失敗した自分、恥をかく自分、できない自分、ダメな自分にもOKを出せているため、仮にそういうことがあっても気にならないのです。だから自分らしくふるまえます。結果としてとても良いパフォーマンスを発揮します。
ボク自身は、過去のトラウマというよりも、自己価値、自己愛の低さから「あがり症」が起こっていました。
でも、自分を癒し、ダメな自分にOKを出せるようになり、あがり症を克服できました。
そう考えると、あがり症も、「自己愛が欠けてるよ」というポジティブなメッセージととらえることもできます。
悩みは、自分を愛するためのプレゼントであり、自分を愛することができるようになれば、「幸せ」という副産物が自然とついてきます。
悩みも生きるために必要なシグナルなのです。