- 人前で話すと頭が真っ白になって話せなくなる
- 緊張しすぎてしどろもどろになりその姿を見せるのが恥ずかしくて仕方がない
- 二人で話すのは大丈夫だが、大勢の前で話すのは緊張する
- お偉いさんと話すとき、極端に緊張してしまう
- 人前で話すことがトラウマ(心の傷)になっていて、それを考えるだけで恐すぎる
- 人前で話せない自分が嫌で仕方がない
- 人前で話す機会がある仕事を全力で避けてしまうのでいろんなチャンスを失う
- 人前で話す機会が避けられないとき、不安で仕方がない
こんな悩みがある方はいらっしゃいませんか?
何を隠そう、昔の私の悩みです。
あがり症は、本当に嫌なもので、人前で話せる人がうらやましくて仕方ありませんでした。かつては大げさではなく死ぬほど嫌でした。
今ではあがり症を克服し、セミナーなど人前で話すこともできるようになりました。
カウンセリングでのあがり症の克服サポートも得意になりました。
あがり症の原因とそれに基づいた克服法を紹介します。
あがり症の原因(メカニズム)
あがり症の原因は、肉体生理面と心理面の2つがあります。
肉体生理面の原因
肉体生理面では、交感神経の活性です。
恐怖や不安を感じることで、神経伝達物質のノルアドレナリンが血液中に分泌され、自律神経の交感神経を活性化します。
交感神経が刺激され、いわゆる「あがりの症状」が起きます。
心理面での原因
アメリカの心理学者ウィル・シュッツは「自尊心が傷つけられるかもしれない!」と感じたときに「あがり」が起きると説きました。
ウィル・シュッツは、自尊心を司る3つの欲求があると説きました。以下の3つです。
- 好意を持ってもらいたい欲求
- 重要な存在として認められたい欲求
- 有能であると評価されたい欲求
もし、人前でうまく話せなかったら相手からどう思われるでしょうか?
失望されて好意どころか、相手にされなくなるかもしれません。
仕事の場面であれば、「こいつには重要な場面は任せられない」と思われるかもしれません。
有能どころか「無能なんじゃないか」と思われてしまうかもしれません。
人前で話す場面で恥をかいてしまうと、大いに自尊心が損なわれることが想定されるため、あがってしまうのも無理はありません。
失敗経験から来る心の傷があがりを強くする
さらに失敗経験があると、それが心の傷になってしまい、「また失敗するかもしれない!」という予期不安が生まれます。
本番で余計に交感神経が活性化されて頭が働かなくなり、更に失敗経験となり、苦手意識がどんどん強くなるという悪循環にはまってしまいます。
あがり症の8つの克服法
では、これらのあがり症の原因に基づいた対策(克服法)を書いていきます。
副交感神経を刺激する深呼吸
交感神経が過度に活性化しているため、それを緩めてあげることができると、あがりの症状を抑えることができます。
定番ですが、深呼吸をするとリラックス効果があります。
但し、深呼吸にもコツがあります。
通常、自律神経はその名の通り「自律」で、私たちの意識とは無関係に働きます。
但し、間接的なやり方で自律神経をコントロールすることが可能です。
その一つが「呼吸」です。
大事なポイントは、「息を吸うときに交感神経を刺激し、息を吐くときに副交感神経を刺激する」という点です。
ということは、緊張を緩めるには、副交感神経を刺激する行為である「息を吐くことが大事」というのが分かります。
できるだけ副交感神経を刺激するには次のような呼吸法が有効です。
3秒くらいで大きく息を吸い、1秒程度息を止めて、7~10秒くらいで息を少しずつゆっくり吐く
これを繰り返すことで緊張も和らいでいきます。
ストレッチする
本番前に身体を動かす時間が取れるのであれば、ストレッチがオススメです。
ストレッチも「深呼吸」とともに副交感神経を間接的に刺激できる方法です。
ストレッチを行うと、筋肉が伸ばされているという情報が脊髄や脳に送られます。
すると、脳は「これから休息モードに入る」と判断します。
そして、副交感神経のスイッチが入ります。
なので、本番前にストレッチをして身体をほぐしましょう。
緊張して血管が収縮し、血圧が上がることで頭痛が起きたり、身体が凝ったりしやすくなります。
ストレッチをすることで血流がよくなり、身体も軽くなるので、本番のパフォーマンス向上が期待できます。
リラックスできる動画を見る
私たちは緊張しながら笑うということはできません。
笑うと緊張が一気にほぐれます。
そのため、本番前に笑うとよいです。
「ただ笑ってみる」という方法も効果があります。
ただ、人前ではこの方法はなかなか難しいかもしれません。変な人だと思われてしまうと、余計自尊心が傷つき、逆効果になりかねません。
オススメは、本番前に面白い動画を見ることです。
今はほとんどの人がスマホを持っていると思います。
好きなお笑い動画を見て笑うと緊張がほぐれます。
過去の傷を癒す
過去の失敗経験があると、それが学習され、それに対処しようとして不安が強くなってしまいます。
もし、人前で話すことでの失敗体験があれば、そのシーンを癒してあげるとよいです。
心理カウンセリングではセラピー(心理療法)を使って癒していきます。
失敗した過去のシーンを思い出して、今の自分が優しい言葉をかけてあげたり、当時の感情をゆっくり感じてあげると癒しが起こります。
いわゆる「インナーチャイルドワーク」というものですが、嫌な感情が強い場合は、思い出すと余計恐くなってしまうこともありますので、自分では対処できないと感じたときはプロの力を借りると早く、楽に解消できます。
練習して成功体験を積む
成功体験を積むことで、過去の嫌な学習が打ち消されます。
とはいえ、あがり症だと成功体験を積みにくいので、できれば過去の傷を癒してからチャレンジしてみるとよいでしょう。
成功体験を積むには、本番前の練習が大事です。
あがり症を克服できたあとは、そこまで練習しなくても話せるのですが、あがり症のときはただでさえパフォーマンスが落ちているので、それだけ準備が欠かせません。
リハーサルをたくさんしてみましょう。実際の環境を想定しながら、十分な準備をしていくと自信がつきます。
もちろん、それでも本番前は緊張しますが、準備を十分していれば何とかなるものです。
1分足らずのスピーチでは、丸暗記もよいと思います。
但し、それ以上の時間話さなければならないときは丸暗記すると、忘れたときに真っ白になって対応できなくなってしまいます。
要点をメモにして、途中途中メモを見ながら話しても大丈夫です。
恐さを隠さない
恐れは隠せば隠すほど強くなる性質があります。
一番まずいのは、あがり症なのに、あがり症でないフリをすることです。
あがり症であればそれを素直に認めて、「私はあがり症なのでカンペ(カンニングペーパー)を見て話させていただきます」と伝えるのも一つの手です。
恐がることを耐えるのではなく、逆に思いっきり恐がってみましょう。
恐さを思いっきり認めて、受け入れてあげると、恐さはだんだん落ち着いてくるものです。
恐がりであることを認めて、周りに公言してみましょう。
恐がりを認めて対策すれば何とかなります。
弱さを隠さない(受け入れる)
恐がりを認めるのと似ていますが、自分の弱さを認めることができれば、あがりはグッとなくなります。
心理的な原因で触れたように、あがりの原因は自尊心なので、あがり症の人は、変にプライドが高いというか、恥の意識が強いのです。完璧主義とも言えるかもしれません。
私があがり症を克服できたのは、ここが一番大きかったです。
「恥をかいてもいいや、恥をさらしてもいいや、そんな自分も自分だから受け入れよう」と思えるようになったことです。
これは、心を癒していく取り組みが役に立ちました。
自己肯定感が上がっていくと、変なプライドはなくなり、よい自分も悪い自分も受け入れられるようになりました。
境界線を引いて、意識を自分に集中する
他人を気にしないように境界線を引いて、自分が話すことに集中することも大切です。
話し上手な人は、周りの反応を見ながら、周りの人が求めていることに合わせて話すことができるかもしれません。
あがり症の人は、それは無理で、周りの人の反応を気にするほど、あがりの症状が強くなります。
私はかつて他人軸(他人の思いや気持ちを気にして、思考行動している)で生きていました。他者にどう見られるか、どう思われるかを気にしていたので、あがり症だったのも無理はないと思います。
周りの人が笑顔でウンウンうなずいているような環境であれば、周りの人の反応がポジティブに働きますが、たいていそんな反応ではありません。
ムスッとしているのを見たり、寝ていたり、面白くなさそうな反応をしていると感じると、一気にあがりの症状が出てしまいます。
そういう人は、可能であれば、笑顔でウンウンうなずいてくれるサクラを置いて、その人だけを見て話すとよいですね。
あるいは、反応のよい人や、知り合いばかりを見て話すのもよいでしょう。
ただ、その人の反応がだんだんネガティブに変わってくると、大きな影響を受けてしまうので、遠くを見て、顔色がよく分からないところを見るのも手です。
要は自分に集中するということです。繊細な人は、人のネガティブな反応を受け取りやすいので、それを防ぐために、境界線を引いて、自分のことに集中できる状況を工夫しましょう。
「自分の話すことに集中する!」と意識するだけで境界線が引けます。
抜本的に自分と他人の境界線を引けるようになりたい方は下記の記事も参考にしてください。