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人間関係などの悩みの原因と解決法② 「価値観はどのようにして身についたのか」

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ボクたちの価値観は、皆それぞれ違います。
それはどうやって身につけたのでしょうか?
勝手に自分で選んで身につけたのでしょうか?
自分で選択したように思うかもしれませんが、実はそうではありません。
心理学ではボクたちの価値観のほとんどが6~7歳くらいまでに作られたものであることが分かっています。

7歳くらいまで、一番影響を受けたのは誰でしょうか?
ほとんどの人にとって両親です。
つまり、ボクたちは両親の価値観を受け継いでいます。
もちろん、両親はその両親の価値観を受け継いでいるので、先祖代々の価値観を受け継いでいることになります。
両親以外にも兄弟や、学校の先生、友達、テレビ、本などからも強い影響を受けます。

ボクたちは小さいころ、「愛されたい」という欲求がとても強いです。
特に「両親から愛されたい」という欲求を強く持っています。
両親に愛されるために、我慢や辛抱を学びます。
だって、親から「○○しちゃダメ」と怒られるから。「○○する私はダメなんだ、愛されないんだ」と思って、我慢や辛抱を学ぶわけです。両親の期待に沿う「いい子」になります。
ここで理解してもらいたいのが、だから「○○しちゃダメ」と子どもに言ってはいけないと言っているわけではありません。しつけは大事です。子どもの成長のためにも傷つけること、トラウマを与えることも大事なのです。ライオンの親が子を突き放すように。
もちろんわざとやったり、虐待することは良くないですが。

幼少期の家庭環境がよくない場合、子どもは親から愛されるためにさまざまな役割を演じます。
たとえば、「ヒーロー」という役割を演じる子もいます。
これは、学業やスポーツで優秀な成績を収めることで、家庭内での闇を隠そうとする行為です。
あるいは、「マスコット」という役割を演じる子もいます。
自分が道化者となることで、家庭内の緊張を和らげようとします。
他には、「世話役」という役割を演じる子もいます。
親子関係が逆転し、本来ならば親が子どもに与えるべき世話を子どもが親に与えます。愚痴の聞き役といったような親の精神的なサポートを子どもがやるのです。
また、「問題児」という役割を演じる子もいます。
犯罪などの反社会的行為や登校拒否などの問題を起こすことによって、家庭内の本当の問題を隠そうとしたり、家族の結束を強めようとします。
また、「パパの王女様」「ママの王子様」という役割を演じる子もいます。
自分の欲求や感情を押し殺して、父親や母親の望みに合わせようとします。
これらはすべて「両親から愛されたい」という欲求から生まれた行動です。

幼いときに身につけた行動パターンは大人になってからも続きます。もう不必要になったにもかかわらず、その行動パターンがやめられません。たとえば恋愛の場合、「ヒーロー」は恋人の前で素晴らしい自分を演出し、がんばりすぎて疲れてしまいます。
「マスコット」は恋人の前で必要以上に明るくふるまったり、おどけます。自分の本当の欲求や苦しみを隠します。
「世話役」は肉体的、言語的暴力をふるうような相手、または依存傾向が強い相手、いわゆるだめんず、ダメ女の面倒をみる役割を自ら引き受けることになります。
「問題児」はわざと何か問題を起こして、たとえば、反社会的行為や浮気などを起こすことで恋人の気を引こうとします。
「パパの王女様」「ママの王子様」は、自分のニーズを無視して、相手に尽くしたり、相手が望む人間になろうとします。
恋愛だけではなく、仕事面や他の人間関係でも同じです。

この根本原因は、「私は愛される存在ではない」という誤解です。
これがあるから、愛されるためにどうすればいいかというのを子どもなりに必死で考えて、自分ができる行為をやろうとします。
「私は愛される存在ではない」
「私は大事にされない」
「私は分かってもらえない」
「私は価値がない」
「私は悪い存在だ」

このような自分に対してのネガティブな誤解があれば、人生はとても苦しくなります。
なぜなら、その誤解が現実となるからです。
価値観どおりの現実が作られるメカニズムを次回説明します。

ABOUT ME
西川佳宏(よっし~)
西川佳宏(よっし~)
境界線専門カウンセラー。境界線(バウンダリー)専門・心理カウンセリング「セルフコンパス」代表。 会計事務所・外資系証券会社・医療設備メーカーでの10年超の会社員経験を経て、2012年6月にセルフコンパス設立。英国HOLISTIC HEALING COLLEGE Integrated Counselling Diploma取得。心理カウンセラーとして境界線を適切に引くためのサポートを提供。 特に効果が高いのが人間関係の悩み、自己肯定感が低い悩み、過剰責任感・完璧主義の悩み、罪悪感の悩み、HSPの悩み、不安・恐怖の悩み、うつ・不安障害の悩み。 柔らかな雰囲気に加え、こころの悩みの本質をやさしく説明するのが得意。プロフィールの詳細はこちら

POSTED COMMENT

  1. 丸目のぞみ より:

    記事を読んで、とても勉強になります。(AC・不安・双極性障害があります)どうしても、記事を読んでてわからないので、質問です。子育ての上で「トラウマを与えることも大事」とありますが、いい影響を与えるトラウマってどんなものなのですか?

    • 丸目のぞみさま

      こんにちは。よっし~こと西川佳宏です。

      いま読み返して、トラウマというのは誤解を生みやすかったかと思います。

      心理学的なトラウマの定義は自分の心の防衛機能では対応できずに、乖離せざるをえなくなったものですが、この記事で使ったトラウマは一般的な「心の傷」という意味で使いました。

      つまり、怒りや悲しみ、恐怖などの感情を伴う、嫌な体験です。
      特にこんな具体的な体験が良い悪いというのではなく、ここでは心の傷を負うことの重要性を説いています。

      私たちは生きるうえで「傷つく」ことが必要です。
      傷つくことが自分を強くします。
      心には防衛機能というのがあるのですが、傷つくことから守る仕組みで生きていくために必要です。直接ショックを受けるのはつらすぎるので、何か別のもののせいにしたり、逃げたりなど防衛方法は多岐にわたります。

      大人になってからはこの防衛機能自体が苦しみを生んでいることが多いのですが、この防衛機能を適切に発達させることは非常に重要です。
      もし、6歳くらいまでにまったく傷つかずに育てられたとしたら、防衛機能が未発達なのでちょっとした刺激で莫大な心のダメージを負ってしまいます。
      子どものちょっとしたイタズラでも耐えられず不登校になってしまったりします。

      そういう意味で心の傷は大切です。但し、過度な心の傷は心を逆に弱くさせてしまいますので、適度な心の傷といったほうが正確です。

      さらに、傷つくことが必ずしも悪いわけではありません。
      傷つくことで、もっと自己主張できるようになって生きやすくなったとしたら、傷ついた出来事は後から考えるととても「良いこと」になります。
      そういう意味でも傷つくことが悪いかどうかは分かりません。

      そして、癒しの仕事をして分かったことは、傷が自分の宝物を発見するきっかけになるということでした。始めからすべて完璧だったらその価値は分かりません。ですが、一度失ってみるとその価値が分かるように、傷は自分の価値を知るきっかけになるのです。

      とてもよいご質問で、皆さんが迷う点でもあるので、こちらのご質問と答えをブログ記事にいつか書かせていただくかもしれません。

      基本的な私の回答は上記になります。

      どうぞよろしくお願いします。

      よっし~(西川佳宏)

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