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ポジティブや正論の境界線越え

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元夫のポジティブシンキングがつらくなってしまった事例

「42歳2児の母が「ポジティブないい人」な夫と暮らすのがつらくなった理由」記事を読んで、境界線を学ぶよい事例だと思い採り上げました。

「元夫は私が『忙しい』とか『疲れた』というのを、ネガティブだと言っていやがるんです」
そうして、ちなみさんにこう言った。「大変なんて言わないで、ありがたいと捉えてみようよ」「疲れないためには、家事を工夫をしたらいいんじゃないの」云々。
「私は、ただ『うんうん』『大変だね』と聞いてほしかっただけなのに。元夫のポジティブシンキングはすてきだと思うけれど、なんだか話すのが面倒になってしまって・・・」

元妻の立場から

まず、元妻のちなみさんの立場から採り上げます。
私は、ちなみさんが元夫と話すのが面倒になるというのは自然なことだと思います。
元夫は境界線越えをしているからです。

何が境界線越えかというと、ちなみさんのネガティブな感情や態度を強制的に変えようとしているところです。

元夫は、ネガティブを否定しているのでしょう。ネガティブな感情そのものを拒絶しているのでしょう。そこに嫌悪感や抵抗感が強いのでしょう。
そのため、ちなみさんのネガティブな吐き出しを正論で押さえようとします。

但し、ここでちなみさん自身もネガティブな感情や態度をよくないものと捉えていると思われます。だからこそ、元夫のポジティブ正論に黙ってしまったのです。

もし、ちなみさんが境界線越えについてきちんと理解していれば、次のことが分かったはずです。

  • 感情は自分の問題
  • 自分がネガティブな感情や態度を出すこと自体は問題ない
  • 自分のネガティブな感情や態度を強制的にポジティブに変えようとされることは境界線越え

それが分かれば、元夫に次のことができたはずです。

  • 「ただ愚痴を言いたいだけで、解決を求めていないから、聞いてほしい」と元夫に伝える
  • 「ポジティブな解決法を言われると、ネガティブな気持ちを持つ自分を否定されているようで残念」と元夫に伝える

元夫を責めるのではなく、自分の気持ちや要望を伝えることは自分の領域内です。境界線越えではありません。

元夫は、自分がやっていることに何かしら非があるとは思っていないでしょう。物事をポジティブに捉えることは素晴らしいことだからです。
しかし、それを他者に強制してしまうことは境界線越えであり、そこについては夫が理解できるようにしたほうがよいでしょう。
そうしないと、夫は「妻の問題だ」というスタンスから変わろうとしません。

境界線がきちんと分かっていれば、元夫が境界線越えである点がハッキリ分かるため、そこをしっかり指摘することができます。

元夫の立場から

元夫の立場からすれば、物事をポジティブに捉えたり、前向きに工夫していくことに問題があるとは思っていません。実際にその通りです。
そこは問題ではありませんが、元妻のネガティブな感情や態度を強制的に変えようとしていることが問題です。

そこが分かれば、自分自身の問題であることが分かります
元妻の問題ではなく、自分がネガティブを拒絶していることが問題であることが分かります。
それが分かることと分からないことは雲泥の差があります。
分からなければ、自分はずっと被害者です。これは元妻の問題だと自分の問題に気づかず、元妻を悪者にします。

しかし、自分の問題であることが分かれば、そこに取り組むでしょう。
自分がネガティブを拒絶していることを認めます。
それが認められれば、どうして自分はネガティブを拒絶しているのかということを考えることができます。

元夫は元妻が感情的になることを嫌がっていたようです。
元妻が感情的になることが恐くて、元妻をポジティブにコントロールしようとしていたことに気づく必要があるでしょう。

元妻が感情的になることの嫌悪感が強い場合、それは感情の境界線が引けていないことを意味しています。
感情を受け取りやすい性質的なものもあるでしょうが、感情の理解不足もあります。

ネガティブな感情を出すことそのものは本人の自由です。たとえば、怒ることは自由です。
しかし、怒って責めることは攻撃です。そこの区別が必要です。
攻撃は境界線越えですが、感情的になることそのものは境界線越えではありません。

元夫はこの区別ができていないのです。
そのため、誰かが感情的になることを自己攻撃と捉えてしまいます。
それで苦しくなり、それを避けるために、元妻のネガティブ感情をコントロールしようとするのです。

そうであれば、やるべきことは感情の境界線が引けるようになることです。

それができれば、元妻のネガティブ感情をポジティブにコントロールすることをしなくて済みます。
愚痴を聞いてあげることができるようになります。

そうなると、元妻は愚痴を吐き出せて前向きな行動が自然にできるようになるでしょう。
そして、自分のネガティブな部分を受け止めてくれた元夫に対して感謝と好意を感じるでしょう。
そうすれば夫婦はうまくいったと思います。

この事例を参考に、境界線の理解が深まれば幸いです。

ABOUT ME
西川佳宏(よっし~)
西川佳宏(よっし~)
境界線専門カウンセラー。境界線(バウンダリー)専門・心理カウンセリング「セルフコンパス」代表。 会計事務所・外資系証券会社・医療設備メーカーでの10年超の会社員経験を経て、2012年6月にセルフコンパス設立。英国HOLISTIC HEALING COLLEGE Integrated Counselling Diploma取得。心理カウンセラーとして境界線を適切に引くためのサポートを提供。 特に効果が高いのが人間関係の悩み、自己肯定感が低い悩み、過剰責任感・完璧主義の悩み、罪悪感の悩み、HSPの悩み、不安・恐怖の悩み、うつ・不安障害の悩み。 柔らかな雰囲気に加え、こころの悩みの本質をやさしく説明するのが得意。プロフィールの詳細はこちら

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