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責任感の手放し方が下手な人、上手な人

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責任感の手放し方が下手な人

責任感が強すぎる人は責任感を適切に手放すことが求められますが、このとき、大抵責任感の手放し方が「下手」なため、かえって苦しくなるケースが見られます。

たとえば、仕事の業務量を抱えすぎている人が「責任を手放す」とき、他の人に仕事を「丸投げ」するか、部分的に「手放す」ことをやってしまいます。

結果、仕事を投げれらた人は不快に感じます。
なぜなら、丸々責任を負わされるか、小間使いのような使われ方をするからです。

家事の例

家事で例えましょう。

妻が責任を抱えすぎて家事全般を全部やっているとしましょう。

妻が「責任を手放そう!」となって、夫に「明日から料理はすべてやって!」と言ったとしましょう。

夫は離婚を考えるかもしれません(笑)

また、夫に料理の部分的手伝いをさせるとしましょう。

このとき夫に「この野菜切っておいて!」「テーブル片づけて!」「お皿盛り付けて!」といちいち指示をするとしましょう。

この場合、夫は妻の部下になった気分になります。

全面的に手放すまずさ

責任感が強すぎる人は、抱えすぎて「もう抱えきれない!」となって、全面的に手放そうとします。

このとき、責任を引き受けざるを得ない人はたまったものではありません。

仕事の場合、仕事を抱え込みすぎてパンクしてしまい、病欠で出社できなくなるケースがあります。
この場合、周りの社員が大変になります。

部分的に手放すまずさ

また、責任を部分的に誰かに任せる場合、全責任を自分で管理した上で、部分的な仕事を他者に任せることになります。

これだと、任されたほうは小間使いになってしまい、モチベーションが下がってしまいます。

成果を上げられない管理職

成果を上げられない管理職は、得てして責任の手放し方が下手だと実感します。
個人の責任感が強いので、プレーヤーとしては優秀でも管理職としては失格です。

部下に適切な責任を与えられないので、部下が責任過多で倒れてしまうか、部下が責任過少で成長しないか、部下の不満が強い組織になります。
管理職が無責任なのは論外ですが、管理職の責任が強すぎるのもまた弊害です。

責任を共有する

  • 全面的に仕事を丸投げ icon-arrow-right 責任を相手に丸投げする。相手が疲弊。
  • 部分的に仕事を投げる icon-arrow-right 自分の責任は変わっていないため本質的な負担は変わらない。相手はやる気が下がる。成長しない。

この二つのケースこそ、私が冒頭で書いた責任感の手放し方が「下手」なケースです。

ゼロか百かの白黒思考の人はこうなりがちです。

そうではなく、責任を共有すればよいのです。

夫婦の場合、家事の例であれば、一方が責任を持つのではなく、二人で責任を持つようにすればよいのです。

料理であれば、二人でゴールを決め、役割分担をすれば、お互いが自主的に動くことができます。
妻がいちいち指示することもなく、夫は小間使いのような使われ方をせずに済みます。
お互いにとって楽になります。

この場合、二人とも達成感が味わえるので連帯感が深まります。
小間使いでは決して連帯感は深まりません。

料理そのものの役割分担ができない場合は、家事全般の責任を共有しながら、料理は妻、片づけは夫、掃除は夫などというように家事の一単位で責任を持つ方法もあります。

夫婦の責任分担

以前は男性は仕事が役割、女性は家事が役割というような役割(責任)が一般的でした。それが都合がよい社会になっていました。

しかし、今は社会そのものが変わってきています。

日本は相対的に貧しくなり、男性の収入だけで家族を支えることができなくなっています。
また、女性も社会活動するのが当たり前になっており、夫婦共働きで、家事も分担するようになっています。

もちろん、男性が仕事、女性が家事という役割でうまく回っている家庭はそれを変える必要はありません。

夫婦どちらかが責任が過多であることが問題で、家庭内の責任分担をどうするかは夫婦の問題であり、他人が口を出すことではないと私は思っています。

責任のバランス崩れ

男性側が「今の時代は男性も家事をやるのが当然だから」と言って、専業主婦の仕事を奪ってしまうと、今度は夫が責任過多、妻が責任過少になるため、家庭のバランスが崩れてしまいます。

夫が家事の責任の一部を担うのであれば、妻が稼ぎの責任の一部を担うことでバランスが取れます。

乳幼児がいるときはまた別の話です

女性側が「今の時代は女性も働くのが当然だから」と言って、仕事専業夫の責任を軽くしてあげると、今度は妻が責任過多、夫が責任過少になるため、これも家庭のバランスを崩すことになります。

妻が稼ぎの責任の一部を担うならば、夫が家事の責任の一部を担うことでバランスが取れます。

ピラミッド型のあり方

この責任バランスはピラミッド型のあり方です。

つまり、トップが責任を持ち、部下に責任を振るやり方です。

仕事面ではこのあり方が必要でしょう。

とはいえ、このあり方「しかない」のは問題だと思っていますが・・・

これを家庭面で持ち込むと問題です。

夫婦どちらかが主導権を取るため、対等性が崩れてしまいます。

夫婦は上司部下とは違い、対等な関係です。
対等な関係とは、責任も対等な関係です。

仕事と家庭の境界線

仕事上で立場が上であれば、対人関係は対等ではない関係になります。
しかし、これを家庭に持ち込むと大きな問題です。

仕事外では人間関係は「対等」であることをつい忘れ、仕事上の「上下関係」意識のままで他の人と接すると、当たり前ですが嫌われます。
夫婦関係がうまくいかなくなるのは当然です。

仕事とそれ以外の境界線をきちんと引ける必要があります。

夫婦が対等でなくなると

夫婦関係は対等な関係であり、対等性が崩れると、下記のことが起こります。

  • 夫(妻)が妻(夫)をコントロールし、妻(夫)が窮屈になる
  • 夫(妻)が責任を抱えすぎて、妻(夫)ができない人になる

前者の場合、一方が暴君になり、一方は奴隷的になり、奴隷的な立場のほうが不満を募らせることになります。

後者の場合、ダメ人間製造機になってしまいます。
つまり、夫、妻、子ども、部下、同僚をどんどんダメな人にしてしまいます。
余計に責任を抱えざるを得なくなってしんどくなります。

理由は簡単で、相手が背負うべき責任を奪ってしまうから、相手がどんどんやらなくなり、無責任になってしまうのです。

被害者=加害者

「無責任の側」に非があるように思えますが、責任過剰な人も、相手の責任を奪ってしまうという「加害者」になっています。

「被害者」は、別な側面では「加害者」であり、また「加害者」は、別な側面では「被害者」であり、両者は表裏一体です。

ここに気づけば「被害者」「加害者」になることを止められるでしょう。

責任範囲の区別をつけること

責任感の手放しかたが下手な人は、境界線が適切に引けていない人です。
つまり、自分の責任範囲と相手の責任範囲の区別がきちんとついていない人です。

だから、相手の責任まで背負ってしまうのです。
あるいは、自分の責任まで他人に背負わせようとするのです。

境界線が適切に引けていれば、仕事上の問題、夫婦関係の問題、親子問題のほとんどが、かなり軽くなると思います。

また、管理職として仕事ができるかどうかも、境界線が適切に引けるかどうかが大きく関わっていると実感します。

ぜひ、適切な境界線の引き方を身につけてください。

ABOUT ME
西川佳宏(よっし~)
西川佳宏(よっし~)
境界線専門カウンセラー。境界線(バウンダリー)専門・心理カウンセリング「セルフコンパス」代表。 会計事務所・外資系証券会社・医療設備メーカーでの10年超の会社員経験を経て、2012年6月にセルフコンパス設立。英国HOLISTIC HEALING COLLEGE Integrated Counselling Diploma取得。心理カウンセラーとして境界線を適切に引くためのサポートを提供。 特に効果が高いのが人間関係の悩み、自己肯定感が低い悩み、過剰責任感・完璧主義の悩み、罪悪感の悩み、HSPの悩み、不安・恐怖の悩み、うつ・不安障害の悩み。 柔らかな雰囲気に加え、こころの悩みの本質をやさしく説明するのが得意。プロフィールの詳細はこちら

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