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佐村河内守さんの事件から読み解く「投影」について

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佐村河内さんのゴーストライター事件で、彼の評価は一気に落ちてしまいましたが、それまでの曲の評価はすごいものでした。
交響曲第1番「HIROSHIMA」については、多くの作曲家や音楽評論家、大学教授、マスコミが絶賛していました。「佐村河内さんの苦悩から生まれた奇跡の曲」みたいな感じで。

しかし、真の作曲家の新垣隆さんは会見でこう述べました。
「あの程度の楽曲だったら、現代音楽の勉強をしているものなら誰でもできる、どうせ売れるわけない、という思いもありました」

会見後に、「『HIROSHIMA』の出来は凡庸で専門家が見抜けなかったのはおかしい」みたいな意見もネットで見られましたが、正直評論家が見抜けないのも仕方がありません。

ボクたちはありのままを見ているわけではありません。必ず、何らかのフィルターを通して物事を見ます。このフィルターを通して見ていることを心理学用語で「投影」と言います。つまり、ボクたちの見ている世界はすべて「投影」なのです。

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佐村河内さんの曲を聞く前には、次のような情報がありました。
・佐村河内さんは全聾である(まったく耳が聞こえない)
・佐村河内さんはピアノに関して幼少から早熟な天才であった
・佐村河内さんは現在も原因不明の偏頭痛、耳鳴りに悩まされている
・佐村河内さんが長らく聴覚障害を隠していた理由については「耳の不自由な作曲家の作品には同情票がつくであろうこと。それだけは避けたかったのです」と述べている
・「HIROSHIMA」は全盲の少女との出会いを経て作られた

こういうフィルターを通して見ていると、曲の中に苦悩や絶望感が表現されているように聴こえ、クライマックスの明るい曲調は苦悩や絶望が解き放たれたかのような感動を覚えるのも無理はないと思います。
先入観、つまり、思い込みやビリーフが自分の世界の解釈を変えるんです。

「私には仕事の才能がない」「私は好きな人から愛されない」というようなビリーフも同じですよ。
単なる「思い込み」「先入観」に過ぎません。でも、そういうフィルターを通して世界を見ると、どうしてもそのように見えちゃうんですね。だから、ネガティブなビリーフが苦しみを生むんです。

佐村河内さんの事件後は、世間のフィルターが180度変わります。
佐村河内さんはずっと嘘をついていました。そして、「佐村河内さんは学生のころから虚言癖があり、自分は暴走族のヘッドだったと主張していた」などの情報も出てきました。
すると、「佐村河内さんは嘘つき」というフィルターで彼を見るのです。
だから、「彼の耳が聞こえないのも嘘に違いない」と疑うわけですね。

金スマの動画で、SMAPの稲垣さんが背後から佐村河内さんに「これがHIROSHIMAですか?」と声をかけ、佐村河内さんが手話の前に返答しているという映像がネット上で広まりました。
佐村河内さんがすぐに「そうですね」と返答していて、ボクも見て笑ってしまいました。
でも、実はこれ、佐村河内さんが答えたものではなく、稲垣さんがすぐに「そうですよね」と言ったものであることが分かりました。
「佐村河内さんは嘘つき」というフィルターで見るから、彼が話しているように聞こえてしまうのです。
※佐村河内さんは謝罪文で3年前から耳が聞こえるときもあることを明かしました。

ちなみに詐欺はこのフィルターを利用して行います。たとえば、病院で白衣を着ていたら、ドクターか看護師に違いないと思うわけです。ピチッとしたスーツを着ていれば、それだけで紳士的に見えるのです。こういう効果を利用して騙しています。

このフィルターは避けることはできませんから、大切なのは次のことを知っておくことです。
・私たちはフィルターを通して物事を見ている(投影)ということを知っておく
・ネガティブなフィルターはネガティブな世界を作ることを理解する
・フィルター(価値観、思い込み、ビリーフ)は変えることができる

ボクがカウンセリングでやっていることは、苦しみを生んでいるネガティブなフィルターを見つけ、それをハッピーなフィルターに変えることです。フィルターを変えるというと、ボクがポジティブなフィルターを与えているように捉えられると誤解を生みますので、もっと正確に言うと、自分自身でネガティブなフィルターの不要さに気づき、自然に(勝手に)新しいフィルターに変わる、そのサポートですね。

佐村河内さんにとって、今回の虚偽の発覚はとても苦しいものになったでしょう。社会的にも「罪」を償わなければなりませんし、今回の告発は彼にとっては「悪」の出来事に違いありません。
しかしこのことが、彼が本当の自分を受け入れる道に進むためのきっかけとなったとしたら、この出来事すべてが彼にとって「学び」に変わり、この告発を「善」の出来事ととらえることができるようになるかもしれません。
これがフィルターのチェンジなんですね。心理学用語で言えば「リフレーミング」です。
世界をどう見るかはあなたのフィルター次第なんです。
つまり、幸せは自分次第で作ることができるのです。

ABOUT ME
西川佳宏(よっし~)
西川佳宏(よっし~)
境界線専門カウンセラー。境界線(バウンダリー)専門・心理カウンセリング「セルフコンパス」代表。 会計事務所・外資系証券会社・医療設備メーカーでの10年超の会社員経験を経て、2012年6月にセルフコンパス設立。英国HOLISTIC HEALING COLLEGE Integrated Counselling Diploma取得。心理カウンセラーとして境界線を適切に引くためのサポートを提供。 特に効果が高いのが人間関係の悩み、自己肯定感が低い悩み、過剰責任感・完璧主義の悩み、罪悪感の悩み、HSPの悩み、不安・恐怖の悩み、うつ・不安障害の悩み。 柔らかな雰囲気に加え、こころの悩みの本質をやさしく説明するのが得意。プロフィールの詳細はこちら

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