先日、大高忍作マンガ「マギ」を読みました。
とても素晴らしい作品だと感じたのでブログで紹介します。
運命は神が決めているのか?
マギの一つのテーマは「運命」。
もし、運命が神の手によって決まってしまっているとしたら、自由意志はあるように見えて、本当はないことになります。
自分が考えているつもりが、神によって考えされられていることになります。
これを「決定論」と言います。
今、この文章を読んでいるのも神が決めた運命ということになります。
決定論は自我にとって耐えられない
神が運命をすべて決めているとしたら、自我にとっては耐えられません。自分という存在意義がないからです。
マギの登場人物であるシンドバッドは運命に逆らおうとしました。
運命自体を壊そうとしました。
マギの世界ではソロモン王がルールを決めた世界でした。シンドバッドは運命を自分が決められる世界を望みました。
つまり、神から独立しようとしました。
自我と分離
このときのシンドバッドはまさに「自我」の象徴として書かれています。
神からの独立は、スピリチュアルでいう「分離」に他なりません。
個である自由を獲得するために、真の自由意志を獲得するために、神に反逆しました。
シンドバッドは神をも超えることを望みました。
はじめは人のため、大義名分で動いていましたが、そうではなく、自らがそう思うから、そうしたいからということで動きました。
世界のルールを決める争いが起こる
シンドバッドは神になり、ルールメイカーになりました。
しかし、これはソロモン王のルールからシンドバッドのルールに世界が変わっただけです。
いくらシンドバッドが優れていようが、世界に争いがなかろうが、シンドバッドの正しさで決まる世界は望めないと、マギの登場人物であるアラジンとアリババはシンドバッドに立ち向かいました。
シンドバッドの案(縦の枠を壊す)
シンドバッドは上位世界(下位世界の運命を干渉可能)の壁を壊そうとしました。
いったん世界のすべてをルフ※に還し、そのエネルギーで壁を壊そうとしました。
※ルフとはマギの世界の言葉でいわゆる魂のようなもの
ルフに還るためには死ぬ必要があり、いったん世界を無にして再構築します。
アラジンの案(横の枠を壊す)
アラジンはそれに反対しました。皆が死ぬことは許せないと。
また、上位世界にも都合やルールがあるわけで、他の世界に勝手に干渉するのは侵略であると説きました。
アラジンは、上位世界から干渉できないように壁を厚くし、独立することを説きました。
さらにアラジンは白ルフと黒ルフ(いわゆる善悪)で別れている世界を統合することを説きました。
今の枠組みの中でよりよい世界になることを提案したのです。
アリババの案(縦と横の枠を壊す)
アリババはシンドバッドとアラジンの意見の両方を取り入れました。
シンドバッドがやろうとしているのは上位世界の壁を壊すもので、縦の壁を壊すことです。
アラジンの提案は白ルフと黒ルフの統合で、横の壁を壊すことです。
アリババは縦と横の壁の両方を壊すことを提案しました。アリババが身につけた大魔法でそれが可能だと説きました。
しかし、そう都合良くはいかず、この大魔法を使うには全員分のルフのエネルギーが必要だったのです。
シンドバッドの妙案
そして、どうするかの議論があり、シンドバッドが妙案を思いつきます。
国に例えると、上位世界の壁を壊すのは「侵略」で、上位世界から干渉させないようにするのは「鎖国」です。
侵略でも鎖国でもなく、上位世界や異世界とコミュニケーションを図り、同盟を結び、国交を持てばいいのではないかと。
スピリチュアル的解釈
作者である大高忍さんは相当スピリチュアルな理解が深い方だと感じました。
でなければこのような作品は書けないと思います。
本当に驚きました。
善悪の統合
マギでいう白ルフと黒ルフの統合は、善悪の統合です。
マギではキャラクターに多様な価値観を持たせ戦わせます。どの価値観が良くて、悪いかということを示していません。どの価値観も一理あり、何がいいか悪いかは分からないことを示しています。
上位世界や異世界との交流
スピリチュアルでいう統合の時代は、いわゆる上位世界や異世界との交流がスタートする時代です。宇宙時代の幕開けです。
そう遠くない未来に地球外の異世界の住人たちや、ハイアーセルフとの交流が当たり前になってくるでしょう。
こういう話も昔は荒唐無稽に扱われていましたが、今はたくさんの本や情報があふれていて、かつてのファンタジーもリアリティを帯び始めています。
自由意志はあるか?
マギの世界では運命は神が握っていました。
私たちが住むこの世界ではどうでしょうか?
ベンジャミン・リベットの実験では意識的な意志決定の前に、無意識の信号が送られており、この結果を持って自由意志はないと考える人もいます。
しかし、この有名な実験の数年後、リベットは更なる実験をしました。
無意識の信号と意識的決定の間に動作を拒否する選択ができたことから、リベット自身は自由意志はあると捉えているようです。
私の意見
自由意志はあると思う
私は自由意志はあると思っています。
そして、宇宙には自由意志を重んじるルールがあると思っています。
支配・被支配は報われない
自由意志が重んじられているからこそ、隷属することが報われないようになっているのではないかと思います。
自分の頭で考えることを止めた人、人生の決定権を他人に委ねた人は苦しむようになっているのではないかと思います。
だからこそ、自分の頭で考えること、人生を自分で決めることは極めて大切なことだと思います。
対立でも隷属でもなく対等
いわゆる宇宙の人たちが姿を現さないのは、私たちが隷属してしまうのを避けるためだと言います。
精神的な対等がない限り、高度な知識やテクノロジーを前にして、自分を卑下し、彼らを神のように扱うでしょう。
それは彼らが望むものではありません。
知識やテクノロジー、知性や能力の差はあっても、上下はなく対等であることを腑に落とす必要があります。
周りの人と対等に思えないのに、宇宙の人たちと対等だと思えるはずがありません。
上下で見ると、侵略を恐れて戦うか、隷属するかの選択になってしまいます。
対等であれば、お互いを尊重できます。友の関係です。
対等になるための条件
対等であるためには、価値をものさしにしないことです。価値をものさしにしたとき、価値を生み出せる人が上位に来ることは必然だからです。
価値ではないものをものさしにすることです。
価値に関わらず自分がどうしたいかを決めること
ものさしの一つの候補は、私は「ハート」だと思っています。
価値に関わらず、自分がどうしたいかで選択することです。
マギのテーマは自分の考え方や生き方を他者の価値観で決めるのではなく、自分がどうしたいかで決めることだと私は受け取りました。
そして、多様な他者の考えや価値観に影響を受け、未知なる経験を通じて進化すること、それによって満たされることを説きました。
とても強い共感を覚えました。
素晴らしいマンガに出会えたことに感謝します。