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自分を責めることと他人を責めることは同じ水準で起こる

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セミナーで、自分を責めることと他人を責めることは同じレベルで起こるということをお話しすることがあります。

両方とも同じレベルのことだと聞いてもなかなか腑に落ちないと思います。

今回の記事はここを解説します。

被害者意識から抜け出そうの誤解

よくあるケースですが、「被害者意識から抜け出そう」という言葉を聞いて、他人を責めることをしないようにしている方がいます。

「被害者意識から抜け出そう」というのは『癒し』において間違ってはいません。
被害者意識のままでは本当の原因に目を向けないからです。

ですが、「相手を責めてはいけない」わけではありません。

相手を責めることを禁止・抑圧すると、怒りや不満などの感情を抑圧してしまいます。

相手が悪いのでなければ、自動的に自分が悪いことになります。
そうならないとつじつまが合いません。

エゴ(自我)はつじつまを合わせて納得したがります

本来ならば自分に非がなく、相手に問題があるケースでも無理やり自分を責めてしまいます。

「被害者意識から抜け出そう」という言葉は、「本当の原因に気づこう」という意味です。
「相手を責めるな」という意味では決してありません。

自分を責めても実は何も意味がない

相手を責めることを止めて、自分を責めたところで、本当の原因に気づいているわけではないので、まったく意味がありません。

楽にはならないどころか、自分責めが増えるので余計苦しくなります。

本当の原因は何か?

「相手を責める」「自分を責める」という行為の前に、何か原因となることが起きます。

たとえば、ある人から「そのやり方は意味ないんじゃない?」と言われたとします。

そう言われてカチンときて、相手に文句を言うかもしれません。
あるいは、「私のやり方って間違っていたのかな。やっぱり私はダメだ」と落ち込むかもしれません。

「相手を攻撃する」「自分を責める」というのは、このレベルで起こっています。

相手を攻撃する場合は、原因は相手の言い方にあると考えます。
自分を責める場合は、原因は自分のやり方にあると考えます。

それは本当の原因ではないので、そこをいくら見ても仕方がありません。

ネガティブな感情が反応したということは、そこに何らかのネガティブな解釈が生まれたということです。

自分にとって痛いところを突かれたというか、傷つきボタンを押されたと表現してもよいでしょう。

仮に傷つきボタンを押されたという表現をするならば、相手を責める、自分を責めるという行為が発生したのは、傷つきボタンの下にある傷から避けるためです。

この傷――見たくない感情・感覚――に触れたくなくて、相手を責めること、自分を責めることで回避しています。

つまり、相手を責めることも自分を責めることの自我の防衛反応の一つです。

自分責めが回避行為であることは分かりにくい

相手を責めるというのはある意味分かりやすいと思います。

相手を責めていたら自分に原因があるとは思わずに済むので、本当の原因である傷つきボタンの傷に向き合わなくてもよいというのはすんなり理解できると思います。

ただ、自分を責めるというのは分かりにくいです。

一見、反省していて原因を自分の中に求めているように思えるために、本当の原因に向き合っているような錯覚に陥ります。

でも、よく考えてもらえば、自分を責めるとき、本当の原因には向きあってないことが分かるはずです。

なかなか自分では気づきにくいですが、ズレたところを責めています。

先ほどの例だと、「そのやり方は意味ないんじゃない?」と言われて、原因は自分のやり方だと考えました。

一見、まともに思えます。

でも、本当にやり方だけが原因であれば、やり方を変えておしまいです。そこにネガティブな感情は発生しません。

潜在意識で、「私はいつも間違う」と思っていたとします。
そしてそういう自分を無意識で強く否定していたとします。

その思い込みに触れたから(傷つきボタンに触れたから)、ネガティブな感情が湧き出たわけです。

この思い込みはただの例なので別の例でもなんでもいいです。
ここは人によって全く違います。

例えば、潜在意識で「私は能力がない」と思っていたとして、そこを強く否定していたとします。

「そのやり方は意味がない」と言われたことを、「私の能力が足りないから、正しいやり方を選択できなかった」と解釈し、「私は能力がない」ボタンを押されて、ネガティブな感情が湧き出ます。

本当の原因というのは、やり方ではなくて、「私は能力がない」と思い込んでいること(同化)です。
そして、私に能力がないことを嫌っていること(否定)です。

ネガティブなビリーフに対する「同化」と「否定」が合わさって、苦しみが発生します。

自己否定が意味がない理由

自己否定は意味がないというのは、本当の原因とは関係ないところで自分責めをしているので何も変わらないのに自分を苦しめているからです。

反省すると改善をもたらすかのように思える分、たちが悪いです。

自分を責めてしまう人は、責めるときの思考を実際に紙に書いてみてください。

そのたくさんの自責の思考が本当に原因を解決するものかどうか、確かめてみてください。

自分を責めること、相手を責めることも同レベルの行為

自分を責めること、相手を責めること、これは同じレベル(水準)で起こります。

性質的な面もあるし、後天的な面もありますが、いずれにせよ、相手を責めるつらさよりも自分を責めるつらさのほうがマシであれば自分を責めるほうへベクトルが向きます。

自分を責めるつらさよりも相手を責めるつらさのほうがマシであれば、相手を責めるほうへベクトルが向きます。

相手を責める人のパターン

相手を責める人は、基本的に孤立しやすいです。

周りは嫌がるからです。
周りは恐れから従いますが、本当の意味で慕っているわけではありません。

見放されたときに孤独感を感じやすいでしょう。

そして、相手を責めることで、人間関係のトラブルを抱えやすいです。

ちなみに、このタイプの方はカウンセリングには来ないタイプです。
自分に原因があるとはまったく考えていないのでそもそも原因を省みようとしません。
いつまでも相手を責め続けて、真の問題はそのまま常にありつづけます。

いつまでも被害者意識を持ち、相手を責めることから抜け出せません。
被害者意識バリバリの世界は当然ながら苦しい世界です。
被害者なのですから。

原因を省みるときは、人間関係でトラブルが起きて困っていたり、孤立して苦しいときかもしれません。
そのときはある意味チャンスです。

そういうときこそカウンセリングを受けて変われるチャンスかもしれません。

また、相手を責める人は自分を責めることを抑圧するのでそこにまつわる感情を抑圧しています。

深いところで自責の念、罪悪感などを感じています。

自分を責める人のパターン

自分を責める人は、相手を責める人よりももっと苦しいです。

責める人からの攻撃に対して、基本的に受け身でいるため、物理的に苦しい状況に追い込まれやすくなります。
つまり、現実がハードになります。

さらにそれを自分のせいにするので(私の能力がないからだ、とか)、自己価値にますます傷が付き、苦しくなります。

世の中は声を出すものが有利になりがちです。
仕事上でも昇進が遅れたり、家庭内のパワーバランスが弱くなったり、損をしがちです。

また、自分を責める人は、相手を責めることを抑圧しているので、それにまつわる感情を抑圧しています。

相手に対する怒り、被害者意識などを抑圧しています。

自分を責める人が相手を責める人よりもラッキーなのは、現実が明らかに苦しいため、原因を追求しようとする点です。

癒し、カウンセリング、セラピーに興味を持つのはこのタイプが多いでしょう。

心に関する本を読んだり、カウンセリングなど他者を頼れると突破口が開けます。
相手を責める人よりも真の原因までたどり着きやすいです。

とはいえ、心の傷を多く負ってきた人は、カウンセリングやセラピーを受けても一筋縄では行きません。ある程度の時間が必要になります。

相手責めも自分責めも単なる気そらし

繰り返しになりますが、他者を責めること、自分を責めること、それは単なる気そらしに過ぎないということです。
真の原因を解決する上で、まったく意味がない行為であり、責め損です。

まずはその下に原因があることを知っていただきたいと思います。

どうやって原因を探るかは簡単に書けるレベルではないので、セルフワーク講座を受けるか、カウンセリングを受けてください。

原理を知り、自分で見つけていくのがセルフワーク講座であり、私が問いかけで見つけていくのがカウンセリングです。

カウンセリングを受ければすぐに解決するとは限りません。
基本的に継続して受け続けることを前提としているので決して安くない金額が必要になるでしょう。

でも、自分でいろいろ模索したり、探究するよりも圧倒的に早く安く済みます。

今すぐ役立つこと

今すぐできることとしては他人を責める人、自分を責める人のいずれも抑圧を取ることを意識してみるとよいです。

この抑圧自体が大きな苦しみを生み出しているケースがよくあります。

自分を責める人は、相手に対する怒りを感じること、非難すること、強い対応をすることを許可してみましょう。

すると、現状が楽になると思います。
真の原因は残ったままですが、それだけで十分楽になれば、原因追求を必ずしもしなくていいです。

抑圧を緩めてみて、それでも苦しければ原因に目を向けてみましょう。

好奇心で原因探しをやってみる

心の傷は誰にでもあり、全てを癒さないといけないわけでもなく、大きいものを癒すだけで十分です。

もちろん癒すことが楽しければどんどん癒していけばいいですが、癒したから特別な人間になるわけではありません。

癒しは単に心地よく生きるためのツールに過ぎません。
ピカピカの自分はいつまで経っても来ませんし、どこかのレベルで妥協していく必要があります。

その前提の上で、原因探しを好奇心でやってみるといいですよ。

原因が見つかって、「なーんだ。だから私はこういう行動を取っていたんだ」と腑に落ちたとき、とてもうれしいものです!

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西川佳宏(よっし~)
西川佳宏(よっし~)
境界線専門カウンセラー。境界線(バウンダリー)専門・心理カウンセリング「セルフコンパス」代表。 会計事務所・外資系証券会社・医療設備メーカーでの10年超の会社員経験を経て、2012年6月にセルフコンパス設立。英国HOLISTIC HEALING COLLEGE Integrated Counselling Diploma取得。心理カウンセラーとして境界線を適切に引くためのサポートを提供。 特に効果が高いのが人間関係の悩み、自己肯定感が低い悩み、過剰責任感・完璧主義の悩み、罪悪感の悩み、HSPの悩み、不安・恐怖の悩み、うつ・不安障害の悩み。 柔らかな雰囲気に加え、こころの悩みの本質をやさしく説明するのが得意。プロフィールの詳細はこちら

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  1. クロダアケミ より:

    苦しくて、苦しみから逃れたくて、でもカウンセリングを受ける自信も勇気もなく、ネットの情報や心理関連の書籍をいくつか読みましたが、どれもその場しのぎで真に納得できるものは一つあるかないかでした。しかし、本サイトに立ち寄り、これまでになく心の曇りが晴れた気がします。特に、「癒しは単に心地よく生きるためのツール」っていう表現が、今の私にとても効きました。自分を責める力をこれまでより減らすことができそうです。ありがとうございました。

    • クロダアケミさま

      コメントありがとうございます。

      これまでになく心の曇りが晴れた気がするとのこと、とてもうれしいです!

      ブログがお役に立てて、書いた甲斐がありました。

      こちらこそありがとうございます。

      よっし~(西川佳宏)

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