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厚生労働省職員の宴会ニュースをテーマに境界線を考える

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厚生労働省職員の宴会ニュース

緊急事態宣言解除3日後に、厚生労働省の官僚たち23人が銀座で0時頃まで宴会というニュースがあり、思わず笑ってしまいました。

これはいいテーマだと思って早速採り上げます。

正直、張り込む記者もどうかと思いますが、これは明らかにまずいことです。

国民を守るためとはいえ、ルールを策定し、国民に負担をお願いする立場の人が、ルール違反をしていたことが明るみになったからです。

どのような処分が下されるのか分かりませんが、何らかの処分は免れないでしょう。

過労死ラインの厚生労働省職員の残業

この飲み会に参加した人たちの気持ちはすごく分かります。

最近のニュースで、厚生労働省の残業について採り上げられた記事がありました。

この記事によると、2021年1月の厚生労働省、本省勤務職員の398人が月80時間以上の残業があったということです。

また、別の記事で、新型コロナウイルス感染症対策推進室の1月の残業時間は平均124時間に上ったというニュースもありました。

ある意味必然的に起こったこと

これは過労死ラインを越えています。

この残業時間はあまりにもやばいです。

ここまでがんばって仕事をしていたら、一息ついて打ち上げしたくなるのは人として当然の心境でしょう。
飲み会でもしないとやってられないと思います。

ある意味、必然的に起こったことだと思います。

今回の問題の本質

では、今回の出来事は何が問題なのでしょうか?

表面上の問題

表面問題は、厚生労働省職員のルール違反の飲み会です。
確かに誰がどう見たって弁解の余地がない問題です。
批判を浴びるのは必然でしょう。

しかし、そこを責めたって意味はないどころか逆効果です。
責めたい人はそれを理解する必要があります。

むしろ、そこを責めることで、厚生労働省職員のモチベーションはどんどん下がっていくでしょう。

それは、明らかに国民にとって不利益ですが、コロナ禍の自粛でたまったストレスをぶつけられるよい矛先なので、かなりの批判が予想されます。

表面問題を叩くことは根本解決を招くどころか、結果的に国民にとってもマイナスになるでしょう。

もっと奥にある問題

もっと奥にある問題は、厚生労働省の仕事の分配が不適切であるということです。

これだけ残業が多いというのは異常です。
明らかに人が足りておらず、組織として不適切です。

もちろん、原資が税金ですから簡単にはいかないでしょうが、人を増やすか、仕事を減らすかが必要です。

厚生労働省は、仕事に関する境界線が適切に引けていない組織と言わざるを得ません。

勤務時間というのは境界線です。組織の側で、勤務時間内と勤務時間外という区別(境界線)をきちんと引く義務があります。

それができていないのは(境界線越え)、厚生労働省のあり方の問題で、本来は上長の責任範囲です。

そこを上長自身が認識せず、末端の飲み会参加者だけを処分するのは大きな意味では責任転嫁です。

しかし、もっと大きな問題があります。

問題の本質

それは組織で働いている人たちが自ら境界線を引けていなかったということです。

組織が境界線を引けないのであれば、自らが適切な境界線を引いて、守ることが必要です。

残業を拒否することはできたはずです。
なぜ、それができなかったのでしょうか?

もちろん、組織の圧力は大きな要素です。
しかし、それでも自分が適切な境界線を引けたら、自分を守ることができます。

境界線が引けない理由はたくさんあり、人によって理由は違いますが、私はある要素が大きいのではないかと推測します。

それは「使命感」「責任感」です。

使命感・責任感が強い人たち

おそらく、官庁の人たちは「使命感」「責任感」が人一倍大きいと思うのです。

だから、自分の身をすり減らしてまでがんばるのです。

しかし、国民のためにここまで身をすり減らした結果、生じるのは、国民からの批判であれば、遅かれ早かれ燃え尽きてしまうでしょう。

燃え尽きて、しばらくやる気を失うか、睡眠障害・うつ病になるか、退職するか、反動で真逆の方向に向かいかねません。

使命感・責任感が悪いわけではない

強すぎる「使命感」「責任感」を問題の一因として採り上げましたが、決して「使命感」「責任感」そのものが悪いわけではありません。

それはとても大切なものであり、美徳です。
しかし、美徳であるがゆえに、適切な境界線を越えてしまいやすいのです。
そこを気をつけなければなりません。

大切なこと

大切なことは、適切な境界線を引いて、その範囲内で「使命感」「責任感」を持って職務に打ち込むことです。

使命感、責任感が行き過ぎると、適切な範囲を超えて、プライベートを犠牲にしてしまいます。

抑圧すれば反動が表れる

そうすると、自然な欲求を抑圧することになります。

「遊びたい」「サボりたい」「自由にしたい」「ゆっくり休みたい」「ルール無視したい」「責任を手放したい」

こんな欲求がどんどんたまることになり、結果的に、それがどこかで暴発します。

その結果が、今回のルール違反の宴会にもつながっているのではないかと思うのです。

適切な境界線を持つこと

私は責任や使命感が強すぎる人に対して、「責任を手放せ」「使命感を持つな」という価値観の正反対を主張するのは問題解決にはならないと思います。

そうではなく、適切な境界線の範囲で「責任感を持つ」「使命感を持つ」ことが大事だと思います。

本来決められた勤務時間の範囲で責任感を持てばよいのです。
勤務終了後は、よい意味で忘れることが大事です。
適切に境界線が引ける人は、それができています。

訳あって残業代が欲しい人は別ですが、残業に関しても適切に境界線を引くことが求められます。

これは、他人事ではありません。
誰しも当てはまることです。

責任感や使命感が強い「いい人」「日本にとって有益な人」たちほど、陥る罠です。
こういった人たちが燃え尽きないように、抑圧の反動が出る前に対処できるように、この記事が届けばよいなと思っています。

ABOUT ME
西川佳宏(よっし~)
西川佳宏(よっし~)
境界線専門カウンセラー。境界線(バウンダリー)専門・心理カウンセリング「セルフコンパス」代表。 会計事務所・外資系証券会社・医療設備メーカーでの10年超の会社員経験を経て、2012年6月にセルフコンパス設立。英国HOLISTIC HEALING COLLEGE Integrated Counselling Diploma取得。心理カウンセラーとして境界線を適切に引くためのサポートを提供。 特に効果が高いのが人間関係の悩み、自己肯定感が低い悩み、過剰責任感・完璧主義の悩み、罪悪感の悩み、HSPの悩み、不安・恐怖の悩み、うつ・不安障害の悩み。 柔らかな雰囲気に加え、こころの悩みの本質をやさしく説明するのが得意。プロフィールの詳細はこちら

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