「あなたはもっと積極的に話したほうがいいと思うわ」
「もっと髪型を変えたほうがいいんじゃないかしら」
「もっと行動を増やしたほうがうまくいくと思うよ」
「実はその嫌な経験自体があなたの役に立っていると思えばいいんじゃないの」
「俺の経験はこれでうまくいったから、こうすればいいと思うよ」
ハッキリ言いますが、アドバイスはまったく役に立ちません。
少なくとも、こちらが求めてもいないアドバイスは役に立たないどころか有害であることも多いので無視しましょう。
もちろん、相手はあなたのことを思って、思いやりで言っています。
だから、相手に悪気はありません。それゆえに余計タチが悪く、相手の言うことを無視できなくなります。
アドバイスする側と自分では資質も環境も状況も経験も違います。それが変われば有効な方法もまったく変わってきます。その人にとっては有効でも自分には有害だったということもしばしばあります。
いちいち気にすることで自分自身を失っていきます。自分の心地よさを失います。
本来の指針(コンパス)はハートの声です。
どんな優れた人で尊敬している人であろうが、他人のアドバイスよりもハートの声を優先したほうが、あなたにとっては心地よいはず。
他人のアドバイスに反応する人は、境界線を越えられています。
本来ならば自分で判断するべきこと、責任を持つべきことを相手に委ねています。
そのため、居心地が悪いのです。
では、逆にアドバイスする側の心理としてはどうでしょうか。
アドバイスを求められていないのにアドバイスをするのは、その状況に自分自身が耐えられないからです。感情的に耐えられないからです。
実はその奥底にはその人自身がその人の人生を切り開く力がないと思っているから、アドバイスしたくなるのです。
心の底では相手を信頼していないんですね。それはイコール自分を信頼していないことでもあります。
この世は投影の世界ですから。
だから、自信ありげに求められてもないアドバイスをする人は、一見正反対に見えますが、無意識では自信がないのです。
カウンセリングも一緒ですね。
アドバイスをするというのは、クライアントの状況にカウンセラー自身が耐えられないから、ついアドバイスをしてしまいたくなってしまうんです。境界線を越えてしまうのですね。
でも、アドバイスはほとんど無駄ですので、アドバイスをしてもいいことにはなりません。
だから、セッションではこうしたほうがいいというのは基本言いません。ただし、自己ワークはこうしたほうがいいというようなことはいいますが、基本的にはクライアントさん自身の選択に委ねます。
境界線を意識してセッションを行います。
アドバイスは境界線越えとはいえ、相手からアドバイスを求められたケースでは当てはまりません。相手が求めていることに応えているので境界線を越えていることになりません。
ただし、自分自身の気持ちも大切ですね。アドバイスしたくないと思ったら、しなくていいのです。境界線だけではなく自分のハートも大切です。
仮にアドバイスされたら自分にとって心地よいものだけ選択すること。
そして、求められていないアドバイスは誰が言おうが大きなお世話だということを認識すること。
他人のアドバイスで自分自身を見失う人が多いので、このことを頭に入れておくと楽ですよ。
ボク自身も自分を戒めるようにしています。