プラス(マイナス)にはプラス(マイナス)を
「プラスの行為にはプラスのフィードバック」「マイナスの行為にはマイナスのフィードバック」という基本ルールがあります。
このルールを破ってしまうと苦しみにつながりがちです。
プラス→プラス
たとえば、子どもが勉強やスポーツをがんばる→親が「よくがんばったね」と褒めてあげるというのがプラス行為に対するプラスのフィードバックです。
子どもはがんばったことに自己肯定感が生まれ、よりプラスの方向に向かうことができます。
マイナス→マイナス
たとえば、子どもが万引きをして、親が叱るというのがマイナス行為に対するマイナスのフィードバックです。
それによって子どもはマイナス行為をやらなくなります。
プラス→マイナス
プラス行為に対して、マイナスのフィードバックをする例としては、子どもが勉強をがんばってクラスで10番だったときに、親が「成績が悪い。これじゃあダメ」とダメ出しをする行為です。
そうすると、子どもは勉強に対するやる気を失います。それを無理やりやっているとどこかで限界が来て、反動が大きくなります。引きこもったり、暴力行為をするなどが起きかねません。
マイナス→プラス
マイナス行為に対して、プラスのフィードバックをする例としては、子どもがいじめをしているのに、「自由に生きろ」「強くていいんだよ」といったフィードバックをして、肯定します。
すると、子どもは他者を傷つけることをこれからも続けることになります。
ニュートラルフィードバック
マイナス、プラスだけではなく、ニュートラルなフィードバックもあります。
子どもがマイナス行為をしているのに、無関心とか、何も言わないというのはニュートラルなフィードバックです。
これも同様に問題です。
ニュートラル→プラス
あるいは、ニュートラルな行為に対して、プラスのフィードバックをすることもよくないです。
子どもが特にがんばったり、何かプラスの行為をしていないのに、「がんばっているね。偉いね」と褒めても、子どもは響きません。
プラスのフィードバックをすればよいというものではありません。
このようにプラスにはプラスを、マイナスにはマイナスを、というのが基本的なルールだということをあらためて知っておくことが大切だと思います。
マイナス行為にマイナスが与えられる社会が健全
そう考えると、炎上系と呼ばれるような迷惑行為をして、有名になってお金が入るというようなプラスの利益が入ってくるというのは、このルールから言うとまずいことです。
詐欺行為で儲かるというのも同様です。マイナス行為をすることでプラスのフィードバックが得られるというのは、マイナスをどんどん助長することになります。
そのため、詐欺行為に対して大きなマイナスのフィードバックが与えられるのが健全な社会です。
ここまでは分かりやすいと思いますが、ここからは実践的なことをお伝えします。
自分に対するマイナス行為を止める
一つは自分責めです。
このブログでも何度も伝えていますが、私は「自分責めは不要です」と言っています。
自分責めと自己否定を区別したいのですが、自己否定はよいのです。
それは避けれられません。健全な自己否定は必要です。
しかし、自己否定しても自分を責めることとは違います。
自己否定があったときに、改善すればよいのです。
改善することに、自分責めは不要どころかむしろ足かせになります。
自分責めというのは、自分に対するマイナス行為です。
自分に浴びせているその言葉を他人に浴びせたとしたら、それは誹謗中傷で訴えられるレベルでしょう。
それをやるとマイナスのフィードバックが返ってくるのが自然なことです。
他者からのマイナス行為に対するヒント
もう一つは、他者からのマイナス行為に対する自分の反応です。
たとえば、会社の上司があなたをいじってきたとします。
あなたは、いじってほしくないとします。
その場合、あなたにとってはマイナス行為になります。
しかし、上司は悪気があっていじっているわけではありません。
場を盛り上げるためにあなたをいじっているに過ぎません。
上司としてはプラスと考えています。
マイナス→プラス
この場合、プラスのフィードバックを与えるとどうなるでしょう。
内心嫌なのに、空気を読んでそのいじりを喜んだような振る舞いをして場の盛り上げに協力したとします。
そうすると、上司はことあるごとに受け狙いであなたをいじることになります。だんだん上司以外の人もあなたをいじりだすでしょう。
マイナス→ニュートラル
ここで、ニュートラルなフィードバックをすればどうでしょう。
上司がいじっても平気なフリをするケースです。いじられることに対して反応することが恥ずかしいため、平気な様子で受け止めます。しかし、内心は傷ついているので苦しくなります。このケースも上司はいじりを止めないでしょう。
マイナスフィードバックを返すうえで注意したいこと
このとき、マイナスのフィードバックをすることが必要ですが、注意しなければなりません。
もし、上司がいじってきたとして、そこに怒りで返すとどうでしょうか?
上司はもうあなたをいじらないでしょうが、上司や周りからの評価はグッと落ちてしまうでしょう。「社外でも同様の対応をしてしまうんじゃないの?」「感情を制御できない奴だ」と不信感を持たれても仕方ありません。
マイナス行為にマイナスのフィードバックを表すときには慎重になる必要があります。
境界線を越えないことが大切
ここで知っておきたいのが「境界線」です。
相手を攻撃するのは境界線越えです。
それはまずいです。
境界線を越えないマイナスのフィードバックが重要です。
境界線を越えないということは、自分の領域の範囲内での振る舞いです。
相手を責めずにマイナスのフィードバックを表すのです。
境界線を越えないマイナスフィードバック
たとえば、上司がいじってきたときに、「ごめんなさい。私はすぐうのみにしてしまう性格で傷ついてしまうんです」と伝えます。
マイナス行為にマイナスのフィードバックを与えています。
上司は悪気がないわけですから、自分ではプラスの行為だと思っているわけです。それをマイナスだと自覚させることが必要です。
「私、いじめられた経験があるから、そういうのがダメなんです」と返してあげるとよいでしょう。
「いじらないでいただければありがたいです」とニーズを伝えましょう。
相手を責めるエネルギーを出さないこと
このとき極めて重要なことが、「相手を責めない」ということです。あくまで「私の都合です」という感じで接するのです。
淡々と自分のニーズを伝えればよいのです。
相手を責めたり、批難したりするエネルギーを出さないということです。
言葉の中身ではありません。エネルギーですね。
そこを出さずにきちんとマイナスのフィードバックを出せれば、うまく行きます。
相手のマイナス行為に対しては「境界線を越えずに」マイナスのフィードバックを返すということが大切です。