ボクたちの悩みの大半は人間関係に関わることだと言われています。
ボクのカウンセリングでも人間関係の悩みがほとんどです。
人間関係で問題や悩みが起こる原因のほとんどが「価値観のぶつかり合い」です。
自分の価値観と相手の価値観が合わず、それを許容できないとき、怒りやイライラなどのネガティブな感情が発生します。
ボクたちは自分の価値観の色眼鏡を通して世界を見ています。これを心理学用語で「投影」と言います。
人間関係の悩みはこの「投影」に尽きます。
男女の例で説明しましょう。
もし、あなたが女性ならば、男性について、「男性は、全然私の話をちゃんと聞いてくれない。自慢話ばかりだし、いつもハッキリずけずけと物事を言う。何で男性はあんなに女心を分かっていないんだろう」。そんなふうに思っている人も多いでしょう。
もし、あなたが男性ならば、女性について、「女性は、ダラダラダラダラどうでもいい話をしてきて、結局何が言いたいか分からない。アドバイスすると機嫌悪くなるし、こないだは『ケーキ食べたくない?』と聞かれたから『食べたくない』と答えたら不機嫌になった。女の気持ちなんてまったく分からない。それに比べて男は単純でいいよ」。そんなふうに思っている人も多いでしょう。
なぜ、こんな行き違いが起こるかと言えば、女性は女性の価値観の色眼鏡で男性を見ており、男性は男性の価値観の色眼鏡で男性を見ているからです。
まず、男性ですが、男性はプライドや体裁をとても気にする生き物です。これは幼いころから「男は強くなければいけない」「男は負けてはいけない」「男は人より優れていなければいけない」というような価値観の元で育ってきたからです。他者との勝負に勝つことが大事であることを無意識のうちに教え込まれます。だから、負けや弱さ、傷つきを認めたくない。そのため、プライドが高いのです。
一方、女性は、男性と違って協調性を教え込まれます。「女はおしとやかでなければいけない」「女は優しくなければいけない」「女は皆と仲良くなければいけない」というような価値観の元で育ってきたからです。だから相手に秀でることよりも相手と協調することを重んじます。
だから男性は、批判的、否定的なメッセージをとても恐れます。悲しみや寂しさ、苦しみなどの感情はなるべく抑え込みます。表面的な感情である「怒り」で表現することが多いです。それは自分が傷つくことへの守りの行為です。だから、「共感」することは苦手です。なるべく論理的に、直球で、短く会話します。また、自分の価値を上げようと自慢話をしがちです。
一方、女性は、協調性を重んじるので、「共感」することに重きを置きます。そして、感情を出すことにあまり抵抗がありません。
だから、上記のような男女の感覚の差が生まれます。
女性は話を聞いてほしいのです。結論を求めているわけではありません。ただ共感してもらいたいのです。愛する人なら特にそう。自分のこの気持ちを分かってもらいたい。アドバイスを求めているわけではありません。また、話すことが目的なので話しの論理構成やオチをつけることにこだわりません。
でも、男性は論理的であり、直球型なので、それが分かりません。女性は悩みを話していると思っているので、その悩みを解決してあげることがその女性にとって良いことだと信じています。だから、すぐアドバイスしたり、結論を出そうとします。また、ダラダラ話をされると「何が言いたいのだろう?」とイライラしてきます。
また、上記の例で「ケーキ食べたくない?」と女性が聞いたとき、女性の本心は「ケーキが食べたい」なのです。男性はそれが分からないから、素直にケーキを「食べたくない」と答えます。すると女性は「分かってない(#゚Д゚)」と思うのです。男性もなぜ機嫌が悪くなるのか分かりません。
なぜ女性がストレートに「ケーキが食べたい」と言えないかというと、この世の中はずっと男性社会だったからです。女性が強く自己主張したり、強く相手に要求するのは、「女性らしくない」とされてきたからです。だから、男性の意に添うような形で顔色をうかがいながら自己主張しなければいけないと無意識で思っているのです。そのため、疑問形の自己主張をするのです。
男性同士、女性同士ならこのような行き違いは発生しません。
なぜなら似たような価値観を持っているからです。お互いの気持ちが分かります。
でも、男女では色眼鏡が違うので、相手のことが分からず、イライラするということが起こります。
お互い、相手のことを思ってやっているんですよ。
相手がその方が喜ぶだろうなと思ってやっています。
それは、自分の価値観の中で「善い」ことをやっているのですが、男女だと「善い」の基準が違うので喜ぶどころか、腹を立てるのです。
それで、お互い「男は(女は)分からない」ということになるのです。
冒頭で、「人間関係で問題や悩みが起こる原因のほとんどが価値観のぶつかり合い」と書いたのは、こういうことです。
今回は分かりやすいように男女で説明しましたが、もちろん個人間でも同じです。
誰一人、価値観が同じ人間はいません。
人は無数の価値観を持っています。数万あると言われています。
価値観をいかにお互いが許容できるようになるかが、人間関係の悩みを解決する方法になりますが、その説明をする前に、まずは価値観がどうやってできるのかということを次回説明します。