心の世界では「受け入れること」「受容」が大事だと言われています。
心を癒やす上で「受容」はとても重要なことです。
「受容」が大きな変化を生むからです。
「あなたが嫌っているものを受け入れる」
「あなたがダメだと思っているものを受け入れる」
このとき大きな変容が起きます。
奇跡が起きます。
そのため、「受け入れること」「受容」については、多くの癒しの本や、心理カウンセラーがその大切さを説きます。
受け入れる・受容の誤解
しかしながら「受け入れる」「受容」は誤解を招きやすい言葉でもあります。
たとえば、相手が理不尽なことをしてきたとします。
それを「受け入れる」ことが癒しなのでしょうか?
自分に非がないのに相手が怒ってきたとします。
それを「受け入れる」ことが必要なことなのでしょうか?
何でもかんでも受け入れようとすると苦しい
エゴは、白黒思考(ゼロ百思考)を持つという特徴があります。
つまり、「受け入れる=善」「受け入れない=悪」としてしまうのです。
そうすると何でもかんでも受け入れようとします。
しかし、本当は受け入れたくないものもたくさんあります。
それでも受け入れようとすると苦しくなる一方です。
カウンセリングを受ければ受けるほど苦しくなっていた例
あるクライアントさん(Aさんとします)は、長年「受け入れる」ことを無意識にやってきました。
私のセッションでその誤解が解けたのですが、他にもたくさんの方が誤解されているかもしれないのでこの記事で啓蒙しています。
Aさんは長年、セラピー・カウンセリングを受けていました。
たくさんのセラピスト・カウンセラーからセッションを受けましたが、何度受けてもよくなりませんでした。
それどころか余計苦しくなったということでした。
Aさんのこの疑問は私のセッションで解けました。
Aさんはカウンセラーが説く「受け入れる」ということを文字通り捉えていて、何でも受け入れようとしてきたのです。
これは無意識のエネルギーレベルで起こっています。
境界線を引けていなかった
Aさんは相手と無意識で同調して、相手のネガティブなエネルギーを受け、自分の状態を悪くしていました。
HSP(繊細な人)は基本的にこれを無意識でやっています
一言で言えば、境界線を引けていなかったということです。
境界線が引けずに同調していた理由の一つは「受け入れるべき」という心のプログラムから来ています。
もう一つはHSP(敏感すぎる人、とても繊細な人)という性質から来ています。
HSPは境界線が薄く、他人との同調が強いです。
要は他人からのエネルギーを受けやすいのです。
つまり、元々境界線を引きにくい資質に加えて、「受け入れるべき」という心のプログラムが、他者との境界線を引けない原因になっていました。
そのため、自分にとって嫌なエネルギーまで受けてしまっていたのです。
それは苦しいはずです。
「受け入れる」ではなく「受け止める」
私は以前、セミナーで「受け入れる」ではなく「受け止める」ということを話しました。
「受け入れる」と考えると、ネガティブなエネルギーまで受け入れてしまうという弊害が出るからです。
そうではなく「受け止める」であれば、ネガティブなエネルギーを「止める」ことができます。
「受け止める」という考え方を採用するもの一つの案でしょう。
「受け入れる」「受容」の誤解を解く
私はAさんとのセッションでこんな話をしました。
家族がインフルエンザになったとします。
何でも受け入れるのであれば、インフルエンザまで受け入れることになります。
インフルエンザを受け入れてしまい、自分がインフルエンザになってしまうと、自分は苦しいし、ケアが必要な家族はケアが得られずに苦しみます。共倒れです。
インフルエンザについてはマスクなどで境界線を引き、自分がインフルエンザにかからないようにしながら、家族のケアをしてあげることが大事です。
何を受け入れる(許す)か
受け入れるというのは「許す」とも言えます。
では何を受け入れるのか、許すのかというと、「家族がインフルエンザにかかったこと」「インフルエンザそのものの存在」、それらを許すのです。認めるのです。
「インフルエンザに自分がかかること」を許すわけではありません。
もちろん、防衛してもかかった場合は仕方ありませんが、インフルエンザにかからないようにすることは当然です。
相手のエネルギーも同じです。
ネガティブなエネルギーを「受け入れる」としんどくなります。その状態だと相手にも悪影響があります。
「ネガティブなエネルギーを出す相手」「ネガティブなエネルギー」の存在そのものは許します。認めます。
ネガティブも必要があるため存在しているからです。
しかし、ネガティブなエネルギーを自分が受けることを許す必要はありません。
ネガティブなエネルギーを意識的に防御することが必要
ネガティブなエネルギーに気づいたら、それを意識的に防御し、自分を高い状態にすることが、自分にも相手のために必要なことです。
防御のやり方は人によって有効なものとそうではないものがあるのでカウンセリングで一緒に見つけています
「境界線を引く=冷たい」の誤解を解く
境界線を引くというと「冷たい」「相手を見捨てる」みたいなイメージがあるかもしれませんが、実際はそうではありません。
境界線を引くというのはインフルエンザの例で言えば、マスクをするようなものです。マスクをしたからといって見捨てるわけではありません。どうせケアするなら、自分をよい状態にしてケアすることが大切で、それは冷たいどころか必要な行為です。
私の事例
私はカウンセリングでは境界線を引いた状態でセッションするようにしています。
昔は境界線を引けていませんでした。
境界線を引けていないと、自分がエネルギーが下がるだけではなく、カウンセリングの質が下がるので、クライアントさんにとってもネガティブです。
また、自己犠牲の愛の精神が強く、相手にエネルギーをあげてもいいとまで思っていました。
そうなると、体調が落ちたり、エネルギーも落ちます。すると結果的にベストなセッションができなくなります。
境界線を引くことは愛がないことではなく、むしろ逆で、自分をよい状態にすることが、自分にも相手にも大切なのです。
自分の状態をよい状態に整えるのが自己愛
自分の状態をよい状態に整えるのは、自分に対する愛です。
そしてそれは他者への愛やマナーでもあります。
白黒思考で「自分の状態が悪い=悪」と捉えないでくださいね(笑)
自分の状態が悪いことが自分に必要な時期もあります。気づきや学びのために必要なこともあります。
それは許した上で、自分の状態を高くすることを心がけるということですね。
ネガティブエネルギーに境界線を引くことはHSPは必須
ネガティブなエネルギーに対して、きちんと境界線を引くことは本当に重要です。
特にHSPは全員必須だと思います!
これを身につけておかないと苦しむ一方なので、全員に学んでもらいたいと思います。
「受け入れること」「受容」のやり方
受け入れること、受容は大切な概念ですが、何でもかんでも受け入れることがよいわけではありません。
ある意味当たり前のことです。
とはいえ、「受け入れること」「受容」そのものを否定しないでくださいね。
「受容」はやはり素晴らしいものです。
自分がよい状態ほど受容がしやすい
きちんと境界線を引いて、自分がよい状態でいると、相手を受け入れるのがやりやすくなります。
自分が落ちた状態で、自己嫌悪や被害者意識の状態で、自分や相手を受け入れられるわけがありません。
自分がよい状態であれば、相手のことを理解しようとすることができます。
冷静な視点でリサーチする
このとき、感情なく、冷静な視点でリサーチしてみましょう。
感情があれば感情解放した状態でやります
冷静な視点でリサーチすると、相手がなぜそんな(ひどい)状態になっているのかが分かります。
そのとき「ああ、そうなんだ。だからなんだ」と分かり、許しが起きます。
このとき、相手(あるいは相手の資質)を受け入れたことになります。
これが「受容」であり、「善と悪との統合」と言われるものです。
「悪だと思っていたものの誤解を解いた状態」です。
受容は意識の拡大をもたらす
このとき、意識の急激な拡大が起こります。
人によって感覚は違いますが、かなりのポジティブな体感を伴います。
カウンセラーとしてはここを目指してやっているのですが、境界線を無視して「受容」を試みると、ネガティブなエネルギーまで受容してしまう弊害があるので、ここの誤解は解いておく必要があるでしょう。
「全部受け入れないといけない」と思っていた方の誤解が解ければ幸いです。