完璧主義を治すことができない悩み
「完璧主義が強く、なんでも理想通りでないと気が済まない」
「理想と現実のギャップで自分を責めてしまう」
「理想を達成するのはもう疲れた」
「理想を達成しても幸せになれないことに気づいてしまった…」
「かといっていまさら理想のハードルを下げられない」
「完璧主義を治すことができない」
完璧主義が強すぎて、こんな悩みを持っている方も多いと思います。
完璧主義のデメリット
完璧主義のデメリットで最も苦しいのは次の3つになります。
②他者批判が多くなる
③理想を追求しても苦しいだけで楽しくない
①理想と現実のギャップで自分を責めてしまうことが多い
完璧主義の人は言い換えると、理想が高い人です。
そして、その理想の高さは一つの分野だけではなく、多くのことに対して理想が高いのです。
恋愛、人間関係、仕事、お金、趣味…
たくさんのことに対して理想が高く、高い理想を目指そうと努力します。
ただ、努力すれば手に入るものもあれば、努力しても手に入らないものもあります。
たとえば、年収1千万が理想だとして、今の会社では役員にならない限り無理だとします。
そうなると、努力で何とかならない可能性が高くなります。
年収1千万であれば、転職や起業などで可能かもしれませんが、絶対に不可能なものもあります。
たとえば、身長とか、若さとか、どうにもならない資質的なものは、努力では手に入りません。
努力で手に入らないものに不満を感じ続けても、解決法はなく、苦しい限りです。
また、努力で手に入ったとしても、その必要努力量が多いケースも苦しいです。
理想をかなえるために、毎日何時間も苦しい努力が必要であれば、かなり大きな負担になります。
理想が高ければ高いほど、理想となる項目が多ければ多いほど、必要努力量が増えるので苦しくなります。疲れてしまいます。
また、努力で何とかならないこともたくさんあるので、理想に足りない現状に不満を抱き、自分を責めがちになります。
自分を責める人生はとても苦しいものです。
②他者批判が多くなる
これは①の裏返しでもありますが、自己批判と他者批判はリンクしています。
自分自身のルール(基準)を相手が破ったとき、他者批判が起こります。
たとえば、「遅刻をしてはいけない」というルールを自分が破ったとき、罪悪感を感じ、相手が破ったときはイライラします。
完璧主義者は、言い換えると、①自分ルールが多くて、②ルールが厳しい人ということです。
そのため、そのルールに該当しない他者はたくさん存在することになります。
それだけ他者に対する怒り、批判が起こりやすいので、その分苦しくなります。
パートナーにもそれを求めやすくなるので、完璧主義者はパートナーの基準が高く、なかなか付き合えなかったり、相手に対して不満が多くなってうまくいかないケースもあります。
③理想を追求しても苦しいだけで楽しくない
そして、もう一つの苦しみは、理想を追求するプロセスが楽しいものではないということです。
理想には2種類あって、心から感じる理想とそうでない理想があります。
心からの理想というのは次のようなものです
- ワクワクする理想
- プロセスが楽しく、結果が伴わなくとも満足できる理想
- ハートから湧き上がる欲求
- 魂と結びついた欲求
- 直感で感じる欲求
- エネルギーがあまり消費されず集中力が続くもの
- 楽しいこと
- 「~したい」こと
他にも表現の仕方はあるでしょうが、どれも同じことを別表現で言っているだけです。
そうでない理想というのは次のようなものです。
- 自己否定から来る理想
- 恐怖を避けるための理想
- 不安を回避するための理想
- 理想を達成すると一時的な安心感は得られるが、心からの満足感は得られない理想
- 理想を達成しても、「もっともっと」となるもの
- 理想を追求するプロセスが苦しいもの
- エネルギーの消費量が激しいもの
- 嫌だけどやらないといけないと思ってやるもの
- 「~すべき」こと
基本的に完璧主義者の理想は、「したい」ではなく、「すべき」です。
なので苦しいわけです。
理想を追求するプロセスのほとんどが好きではないことでしょう。
好きではないことにエネルギーを使っても疲弊するだけです。
そして、理想を追求して、達成したとして、それで心からの満足を得られるかというと、実は得られません。
一時的には得られます。
しかし、それは達成そのものの満足感というよりも、達成できた安心感で、本質的な喜びではありません。
夏休みの宿題が完成した感じです。
また、新たな不足が気になり、違うチャレンジが始まります。
いつまでも終わりはありません。
なぜ完璧主義を持つのか?(高い理想を持つのか?)
では、なぜ、そんな苦しい完璧主義を持ち続けるのでしょうか?
現状に満足できないからです。
今の自分自身はダメだと思っています。
欠点だらけ、不完全、欠陥品だと思っています。
なので、改善する必要があるのです。
ダメじゃない自分(=理想像)のイメージに近づけるべく、「改善しなければ」という焦りが強く起きます。
焦りがあるからといって必ずしも努力するとは限りません。
努力するのも才能です。
なかなかできることではありません。
完璧主義が強い人は皆努力家かというと違います。
むしろ、努力できない人が多いです。
そういう人は、「改善しなければ」という焦りが恒常的にあるにもかかわらず、改善する行動が取れない自分へのいら立ちや自己嫌悪の気持ちもあり、負のスパイラルに陥っています。
そして、あまりに苦しくなると、苦しみを見ないようにします。
焦りも自己嫌悪も感じないようにし、希望を失ってあきらめの人生を送ります。
完璧主義の強さ=自己価値の低さ
完璧主義が強いということは、それだけ今の自分に不満を抱えていることになります。
理想をかなえた条件付きの自分しか受け入れていないことになります。
セルフラブ(=自己価値、自己愛)の定義は、ありのままの(良い点も悪い点も)自分を受け入れている度合いです。
理想をかなえた条件付きの自分しか受け入れていないということは、自己価値はそれだけ低いことを意味します。
理想に達しない自分を認めていないということですから。
100%理想をかなえたとして、自己価値は50%になります。
私たちはすべての要素を持っており、善悪すべて受け入れているのがセルフラブの高い人です。善だけを認めるのは半分に過ぎません。
理想をよく見つめてみてください。
おそらく現状の否定があるはずです。
スリムで筋肉質の体型が理想→太っている自分をダメだと思っている
たくさんの理想があるほど、たくさんの現状否定があります。
努力の結果、その理想がかなえられていれば、現状否定が見えてこないかもしれませんが、努力をやめたり、環境の変化などでまた理想に達しない状態になれば、自己否定が始まります。
完璧主義を治すには?
だとしたら、完璧主義を治すには、現状の否定を緩めるというアプローチになります。
つまり、自分がダメだと思っていることを受け入れていくことです。
そして、自己価値が失われる恐怖に向き合って、恐怖を克服することです。
これは簡単ではありません。
なぜ簡単ではないか?
たとえば暗い自分はダメだとします。
暗い自分にくっついているイメージがたくさんあります。
このイメージは深く身体に染み込んでいます。
そのため、頭で「暗い自分でもいい」と思いこまそうとしてもそう簡単に思えません。
カウンセリングではどう対処しているか?
暗い自分にくっついているイメージを明らかにし、思い込み、ストーリー、感情を洗い出して、セラピーによって感情・感覚のエネルギーを消化し、ストーリーを無力化します。
(例:暗い自分=モテない、嫌われる…、小さいころに無口でいじめられた経験、好きな子に相手にされなかった経験…、怒り・悲しみ・無力感…)
場合によってはポジティブストーリーに書き換えます。
自然に「明るいとか暗いとかどうでもいいや」などと思いが変わります。
また、自己価値が失われる恐怖は、恐怖の中でも最大の恐怖です。
失敗が怖いのも自己価値が失われるからです。
その恐怖に向き合うのはなかなかできることではありません。
カウンセリングではどう対処しているか?
最大限のサポート環境を整え、セラピーを使いながら恐怖に向き合っていくことで自己価値が失われる恐怖に向き合っていきます。
恐怖に向き合っていくと、恐怖が少なくなったり、恐怖を受け止められるようになり、たとえば失敗することへの恐れなどがぐっと減ります。
理想のハードルを下げられない理由
否定している自分を受け入れることで、理想のハードルはだんだん下がってきますが、理想のハードル自体をかたくなに下げられないケースも多くあります。
要は恐れがあるからですが、いくつか理由があるなかで2つ紹介します。
①理想のハードルを下げるとダメな人になってしまう恐れ
よくある理由が、理想のハードルを下げるとダメな人になってしまうということです。
なので、理想のハードルの高さが自分を苦しめていることを理解したとしても、理想のハードルを下げられません。
しかし、これは誤解です。
この誤解は後で解いていきます。
②理想のハードルを下げると生きる指針がなくなる恐れ
完璧主義というのは一朝一夕にできたわけではありません。
おそらく子どものころから持っていたと思います。
理想を追求していく生き方をずっとしてきたわけです。
その理想を手放したり、理想のハードルを下げるということは、生き方の指針がなくなることを意味します。
人生のガイドがなくなるのです。
暗闇の中で道が分からないと当然恐ろしいです。
そんな感覚があって、理想のハードルを下げられません。
理想のハードルを下げるとダメな人になってしまうという誤解を解く
本当に理想のハードルを下げるとダメな人になってしまうのでしょうか?
明るいという理想があって、その理想を下げるのが恐いのは、暗い自分を受け入れていない証拠です。
暗い自分を受け入れていれば、理想を下げても平気なはずです。
そして、理想のハードルを一気に下げたとして、努力しないダメ人間になるのでしょうか?
そもそも、理想のハードルによってやっている努力は、苦しい努力です。
たいしてパフォーマンスは上がらないです。
なぜなら、つらいこと、きついことはそんなに続かないからです。
苦しい努力は、エネルギーもたくさん消費し、すぐに疲弊します。
もし、現状の嫌なところもすべて受け入れられて、理想のハードルを一気に下げられたとしたら、どうしますか?
少し考えてみてください。
本当に何もしませんか?
そんなことはないと思います。
必ず何らかの興味や情熱があって、その行動を取るはずです。
興味や情熱からの努力は、楽しい努力です。
パフォーマンスは上がり、自然に結果も出ます。
楽しいこと、興味あることは、エネルギー消費量も少なく、疲弊も少ないです。
皮肉にも、理想のハードルを下げたほうが、元々の理想に近づく結果になるでしょう。(もちろん、それは単なる副産物に過ぎませんが)
そして、理想のハードルを下げても、生きる指針がなくなるのではないかというのも誤解だと分かったと思います。
頭で理解するのではなく、体感してみてください。
理想のハードルを下げると本当に指針がないかを感じてみてください。
必ず、興味、情熱はなくなりません。
むしろ、理想のハードルを下げたとき、自分の中の価値観、ルールが少なくなって、「こうすべき、こうあるべき」が減ったとき、一つの指針が表に顔を出します。
ハートという指針
それが、ハートです。
ハートはいつも、指針を出しています。
単に「べき」によって見えていないだけです。
理想のハードルは実はすぐに下げられるのです。
ハードルを下げないのは自分で下げようとしないからです。
下げようとしない恐れを解くことを意図して今日の記事を書きました。
完璧主義を治すこと、理想のハードルを下げることに役立てば幸いです。
カウンセリングでは理想のハードルを下げて、ハートで生きるお手伝いをしています。
ピンときた方は受けてみてください。
丁寧なご解説,ありがとうございます(^_^*)♡
ハートを中心に置いて参ります☆