ソフトバンクホークス甲斐拓也選手の記事
たまたまニュースの記事でこちらの記事を読みました。
球場に届いた批判の手紙、3日間泣いた札幌の夜… 甲斐拓也が激白する中傷と苦悩の1年
これは「心の力」について、いいテーマだなと思って採りあげさせていただきます。
プロ野球の簡単な背景説明
まず、野球に詳しくない方のために簡単に状況説明すると、プロ野球にはセ・リーグ6チームと、パ・リーグ6チームの計12チームがあります。
ちなみに2020年のセ・リーグ優勝チームが読売ジャイアンツで、パ・リーグ優勝チームがソフトバンクホークスです。
それぞれの優勝チームが日本シリーズで日本一をかけて戦います。
ソフトバンクホークスは、4年連続日本一で、現時点で圧倒的に強いチームです。
2019年、2020年共に、日本シリーズで読売ジャイアンツに4連勝して日本一になりました。
その最強チームの正捕手(キャッチャー)が甲斐拓也選手です。
「甲斐キャノン」と呼ばれる強肩が武器です。
リンク先の文章はそんなに長くないので読んでもらいたいですが、わざわざ読まない方もいらっしゃると思うので、一部を勝手に引用させていただきます。
記事の引用
2020年のシーズンを振り返り、甲斐は1年間をこう形容する。「本当に苦しかったです」。結果的には優勝し、日本一にはなったが、これまでにないほどに悩み、落ち込み、苦しんだ1年だった。
開幕した直後は2度の3連敗を喫するなど、しばらくは借金生活が続いた。甲斐自身も7月3日からの日本ハムとの6連戦で3試合連続でスタメンから外された。必死にやってもうまくいかない日々。「札幌では本当に今までにない気持ちになりました。全てを投げ出して辞めてしまいたいくらいに思いました。3日間、ずっと夜、部屋で泣いていました」。試合を終えてホテルに戻ると、毎晩涙を流した。
「これだけやろうとしているのになんで、とキャッチャーって本当に辛いポジションだな、と思った時間でした。あの時は寝れなかったし、泣いても泣いても涙が出る感じでした」。誰にも会いたくないから、とホテルの食事会場にも行かず。1人でコンビニで食料を買い込み、自室で1人食べ、そして、また考えて涙した。
その後もしばらくは苦悩の日々を過ごしていた。「なかなか立ち直れなかったですね。どれだけやっても負ける時は負けるし、うまくいかないこともある。ただ負けると『甲斐だから』となったり、そういう声も聞くじゃないですか。そういうふうに見られているんだな、って思っちゃうし、怖くなる時もあった。自信はなくなりかけましたし、そういう状態はしばらくずっと続いていましたね」と振り返る。
…中略
SNS上などでは匿名でファンが批判の声をあげ、それはリード面だけではなく、甲斐の人格批判とも取れるようなエスカレートしたモノも散見された。本拠地PayPayドームには批判の手紙まで届いた。それも1通だけではなく何通もあったという。そこには「お前を見ているとムカつくんだよ」「ツーストライクになったら外ばっかりになるのやめろ」などといった批判の文面が綴られていた。
この手紙を、甲斐はあえてベンチ裏のロッカーにしばらく置いていた。「今に見とけよ」。言いたい放題言う人間たちを黙らせたい。そのためには勝つしかない。絶対に負けたくないという反骨心から来る行動だった。チームは10月10日のロッテ戦から怒涛の12連勝を飾り、リーグ優勝へと突っ走った。チームが勝ち出すにつれて、批判の声も下火になった。「もういいやろ」。ようやく甲斐もその“批判の手紙”を捨てることができた。
「捕手はそういう見られ方をするポジション。結局は勝つことが全てなんです。叩こうと思ったら、いくらでも叩ける。でも、そういう人たちはチームの中のことは知らないし、その日の投手の状態、使える球種、使えない球種も分かっていない。結果論でしかモノを言わない。でも、そういう無責任な言葉でも僕らは引きずったり、傷付いたりするんです。ただ、今となっては無責任な言葉に自分を左右されないようにしようと思うようになりました。勝っている時は言ってこないですよね。見返したい、見とけよと思っていました」
引用が長くなってしまいました。大丈夫かな?問題だったら引用消します。
ぜひ、リンク先を見てください。
甲斐拓也選手は非常に繊細なメンタルの持ち主
これを読んで分かるのが、甲斐拓也選手は、非常に繊細であるということです。
元々持っている資質はかなりデリケートで、打たれ弱い感じの印象を受けると思います。
スタメンから外されたこと、うまくいかないこと、ファンからの批判の声…
それらに対して、傷ついている度合いは、他のプロ野球選手や一般の人に比べても、度合いが大きいと思います。
メンタルの強い人
よく言われる「メンタルの強い人」は、そういったことを気にしません。
スタメンで外されて、悔しさはあったとしても、夜な夜な泣くということまでには至らないと思います。
パッと切り替えて、またがんばって、スタメンを取り返すという感じでしょうか。
また、ファンからの批判も、ほとんど気にしないか、逆にポジティブに「こんなにオレのことを気にしてくれているんだ!」と受け取る感じかもしれません。
こういう人は、確かにいます。
プロ野球で言えば、新庄剛志さんでしょうか。
こういう人は、確かにメンタルは強いです。ですが、一般の人は真似ができません。
ましてや、資質的に繊細な人が、こういう人にあこがれてもなれないです。
そこは無理があるんです。
甲斐拓也選手は「心の力」が強い
しかし、甲斐拓也選手は違います。
甲斐拓也選手は資質的に繊細です。それもかなり繊細だと思います。
仮に、資質的な心の強さを「メンタル」と呼ぶならば、甲斐選手はメンタルは弱いです。
ところが、「心の力」はめちゃくちゃ強いと思います。
資質的なメンタルと心の力の違い
資質的な「繊細さ」と「心の力」は違います。
資質的に繊細であっても、心の力を養って、メンタルを強くすることは可能であることの好例だと思って、この記事を採り上げました。
甲斐拓也選手は、「スタメンから外されたこと、うまくいかないこと、ファンからの批判の声」を受け止めて、苦悩し、自信を失いながらも、最終的に、反骨心で勝って「見返した」のです!
心の力が弱いとどうなるか?
心の力がなければどうなったでしょうか?
まず、事実を「受け止める」ということができません。
そのため、事実を抑圧し、「まあいっか」となってやる気を失ったり、あるいはスランプが続くという状態が続いていたでしょう。
簡単に言えば、平気なふりをして、でも心の奥ではそれが残っており、それが原因で自分の力を十分出せない状態が長期に渡って続くという状態になってしまいます。
甲斐拓也選手は苦悩から「逃げなかった」
甲斐拓也選手は、心の力があったから「受け止めた」のです。
そして、受け止めた結果、当然、起こることが、苦悩です。
絶望感、悲しさ、悔しさ、自信喪失、落ち込み、葛藤、怒り、恐れ…
そこから逃げませんでした。
それらを「受け止めて」、時間をかけて、処理していきました。
前向きな力に変えることができた
そして、さらにそれらを反骨心に変えたのです!
つまり、自分がやりたいことへのポジティブなエネルギーに変えました。
勝つための行動のエネルギーに変換し、必死に努力し、最終的に勝ち取り、批判の声を黙らせることができ、「見返す」ことができたのです。
単に「受け止めて処理した」だけではなく、自分の行動力に変え、見返すことができたというのは、強い「心の力」があったからです。
心の力は「落ち込まない」「苦悩しない」力ではない
心の力とは、決して、落ち込まない力ではありません。
苦悩しない力ではありません。
心の力とは、苦悩を「受け止める」力であり、受け止めたものを「処理する」力であり、ネガティブをポジティブに「変換する」力であり、自分の人生を前向きに行動できるように持って行ける力です。
繊細な人でも、心の力を養って、甲斐拓也選手のように前向きに行動することができるよい見本です。
本当に尊敬します。
繊細な人こそ、ぜひ「心の力」を養う必要があると強く感じます。