思考の幻想を見抜く
心理カウンセリングでやっているのは、いかに「思考の幻想を見抜くか」です。
不安障害の人だと強迫性障害の人はたとえば「鍵を閉めたかどうか不安」という思考が出ます。
パニック障害の人はたとえば「電車に乗ってまたパニックになったらどうしよう」という思考が出ます。
恐怖症の人はたとえば「飛行機が落ちたらどうしよう」という思考が出ます。
思いを真実(事実)だと捉えている
これらはそれぞれ「私は鍵を閉め忘れた」「電車に乗るとパニックになる」「飛行機が落ちる」という思いをものすごくリアルに感じているために生じます。
でも、不安障害の人でなければ、その思いは幻想だということが分かると思います。ただの思いに過ぎず、そこにとらわれる必要がないことが分かっているため、気にしないのです。
自己否定(ネガティブセルフイメージ)も同様
不安障害の方だけではありません。
自己肯定感が低い人は、基本的にセルフイメージ(自分をどう捉えているか)がネガティブです。
たとえば、「私は魅力がないので人から受け入れられない」などと思っています。
この思いをものすごくリアルに感じているため、それを前提とした行動を取ります。
なぜリアル(真実味・事実)と感じるか?
なぜ、リアルに感じるかというと、過去の体験があるからです。
そこで学習しました。
でも、それだけではありません。
リアルに感じる大きな理由は、体感覚(感情)を伴うからです。
逆に言えば、体感覚(感情)を伴わなければ、学習が働かなくなります。
映画を見て真実だと思わない理由
映画を見て、完全にリアルに感じないのは、それは映画だと分かっているからです。
そして、体感覚を伴わないからです。
しかし、もし、主人公と同じ体感覚が生じる装置に入って、映画を見たとしたら、この体験を現実(リアル)だと捉えるでしょう。
この世の中は、五感と思いの幻想が織りなすバーチャルリアリティと言えるかもしれません。
感情解放が有効な理由
セラピー(心理療法)に感情解放のテクニックがありますが、感情解放が有効な理由は感情と体感覚を緩めてくれる点です。
そのため、思考のリアリティ(真実味、臨場感)が薄れます。
先の例の「私は魅力がないので人から受け入れられない」ということが真実だと思わなくなります。
トラウマから来る学習の場合は、トラウマ時の感情解放が有効です。
トラウマの場合は、感情解放抜きに、ただ幻想を見抜こうとしても困難です。
感情解放についてはEFTが有名です。
EFTよりもずっと簡便なやり方で感情解放できるテクニック(BERT:バート)をメルマガ購読プレゼントで紹介していますので、ぜひそちらもご参考ください。
幻想を見抜くトレーニング
幻想を幻想だと見抜くトレーニングとしては、瞑想やマインドフルネスが有名です。
マインドフルネスはGoogleの研修でも取り入れられており、だいぶメジャーになりつつあります。
日常的に少しずつ取り入れていくことをオススメします。
幻想であると疑ってみるトレーニング
そして、これに加えて「出来事を幻想であると疑ってみる」習慣をオススメします。
「この世の中そのものが幻想だ」というのはハードルが高いヤツなので、ある程度理解がある方が対象になります。
一般の人がこれを言っちゃうとおかしな診断を下されてしまいます。
では、何を幻想だと疑ってみるかというと、とらわれている思いです。
思いは幻想であると疑ってみる
不安障害の人の例で出した「私は鍵を閉め忘れた」「電車に乗るとパニックになる」「飛行機が落ちる」といった思いであり、自己肯定感の低い人の例で出した「私は魅力がないので人から受け入れられない」といった思いです。
この思いを幻想だと見抜くことをやっていきます。
あなたにとっての真実は他の人にとって幻想かもしれない
この世の中自体が幻想というのは、見抜くのは相当困難ですが、自分の持っている思いが幻想だというのは、見抜くことは十分可能です。
あまりに強く信じていることはなかなか幻想を見抜けません。
たとえば「私は人間だ」という思いが幻想と言われてもまったく意味不明のはずです。
「私は魅力がない」
それを強く信じている人は幻想だとは思えないでしょう。
ですが、そう信じていない人は幻想だと思えるはずです。
「それは単なる思い込みだよ」と分かります。
もし、「私は魅力がない」にリアリティを感じている人がいれば、これならどうでしょうか?
「私はゲームの才能がないから魅力がなくて、誰からも好かれない」
これに関しては、ほとんどの人が「それは単なる思い込みだよ」と思うのではないでしょうか。これはリアルだと感じていないから幻想だと見抜けます。
あらゆる思いは思い込み(幻想)
まず、理解しておくべきことは、あらゆる思いは「思い込み(幻想)」であるということです。
例外はありません。そう信じているだけです。
思いは真実ではありません。事実ではありません。「思い」があるだけです。「思い」という幻想を信じているだけです。
「あらゆる思いは幻想」を何度も意識してみる
とは言っても信じられないと思いますので(これを理解してもらうところまで持っていくのはかなりのレクチャーが必要です)、まずは「あらゆる思いは幻想だ」ということを、腑に落ちてなくて構わないので、何度も意識してみてください。
何度も何度も何度も何度も意識してみてください。
これが当たり前になるまで刷り込んでください。
人生は捉え方次第
ネガティブな幻想を信じると、ネガティブな幻想をリアルに感じて、苦しくなります。
逆にポジティブな幻想を信じると、ポジティブな幻想をリアルに感じて、ハッピーに感じます。
人生は捉え方です。実に単純です。
ネガティブな幻想をポジティブに変えるのは容易ではない
そう思うでしょう。その通りです。ですが、それは容易ではありません。
まずは幻想そのものを解くことが大事
氷から水蒸気に変えるには時間がかかります。まずは、氷を溶かして水に変える必要があります。
「幻想そのものをニュートラルに戻すこと(幻想を解くこと)」
幻想をポジティブに変えるよりも、まずは幻想を幻想だと見抜くことをカウンセリングではやっています。
その上で、「意識的に」ポジティブな幻想を取り入れていけばよいのです。
無意識のポジティブな幻想は、状況が変わればネガティブに転換してしまいます。
幻想を解くことが重要です。
ゆっくりポジティブな捉え方に変える方法
捉え方をポジティブに変える方法をお伝えしましょう。
カウンセリングでは主体的にポジティブなところまで持っていけますが、セルフワークでは誰でもできるやり方をオススメします。
但し、先に言っておきますが、氷から水蒸気に変えるのですから、かなりの時間がかかります。
1回、2回では氷の表面がわずかに溶けただけで変化は感じられません。
数ヶ月続けることを前提としたトレーニングです。
しかし、やる価値はあります!
聞いたことがあるワークかもしれません。
捉え方をポジティブに変えるワーク
- 一日の終わりに、今日一日のよかったこと(あるいは感謝の出来事)を3つ挙げます
- 一日の終わりに、自分を3つ褒めます。褒めることを探しましょう
これを毎日やります。
ポジティブを探そうとする意識が有効に働く
この方法はポジティブ心理学の研究でも効果が実証されている方法です。
ポジティブ心理学などの本にも書いてあるでしょう。
もし、「私は魅力がない」と思っている人であれば、魅力があることを探してみましょう。
なかなか見つからないかもしれませんが、探そうとするプロセスが重要です。
これはポジティブな捉え方に変える練習です。
ポジティブに捉えるという癖がない人は、いつまで経ってもポジティブな世界になりません。
捉え方は現実を変える
もちろん、よいことがあればポジティブな感覚になりますが、そういうことが起きる頻度は少ないです。
ネガティブな捉え方のせいで、ネガティブな出来事が起きやすくなります。
ポジティブな捉え方に変えれば、行動が変わるので、結果的にポジティブな出来事も起きやすくなるでしょう。
感謝も捉え方を変えるワーク
この方法だけではなく、「あらゆることに感謝をする」というワークも捉え方をポジティブに変える練習です。
ぜひやってみてください。
ネガティブな捉え方をする理由に、明らかにネガティブ体験があることが分かっている場合は、先に紹介した感情解放をして感情を癒すことが先決です。
それをやったうえで、ポジティブ探しをするとよいでしょう。
早く「幻想を幻想だと見抜いて、ニュートラルにしたい」方は、セッションをオススメします。
セッションでは「真実や事実」を知っていくことをやります。
そうすれば幻想(誤解)は解けます。
プロはそれを専門的にやっているわけですから、幻想(誤解)を解くのが早いのは当たり前です。
ですが、自分でできないわけではありません。
ネガティブな捉え方の世界から抜け出してください。
ありのままの世界は愛にあふれていることに気づけます。