我が強い、弱い人が苦しんでいる
今、苦しんでいる人を見ると、我が強い人、もしくは我が弱い人の2つのケースが多いように感じています。
これは自我のバランスが崩れているわけです。
我というのは本来悪いものではありません。
それが悪い方向に出てしまうと苦しみにつながっていきます。
逆に我がなさ過ぎるとそれも別の苦しみにつながります。
我が弱い例
具体的な例を挙げます。
たとえば、自分の仕事を選ぶ上で、我がない状態というのは、「仕事は何でもいいよ。誰かが決めてくれた仕事をやるよ」というような状態です。
このとき、心から我がなければ、苦しみはありません。
但し、幸せかどうかは別の話ですが。
しかし、我は誰しも多かれ少なかれあるものです。
我があるがゆえに、押しつけられた仕事に対して反発心が出てきます。
このとき、我が実際にはあるのに、それを抑圧していると、心の不調につながります。
これが苦しみになります。
我が強い例
逆に我が強いケースを挙げると、「私はこの仕事しかやらない!この仕事は私はやりたくない」というような状態です。
例はあえて分かりやすく極端にしています。
会社でこれをやってしまうと、周りに迷惑を掛けることになるため、トラブルを生み、それが別の苦しみになります。
一番苦しいタイプ
一番心が苦しくなるのが、本当は我が強いにもかかわらず、我を抑圧している人です。
「私はこの仕事しかやりたくない」と心では強く思っているのに、嫌々別の仕事をさせられているというようなイメージです。
まとめ
まとめます。
我がまったくないと、葛藤がないので、心は苦しくなりません。
しかし、人としてそれはどうなの?というのがあるでしょう。
我が実際には強いのに、周りに合わせて我を押さえていると、心は苦しくなります。我が強いほど、押さえる度合いが強いほどそれは増します。
ちなみに無意識に抑圧すると表面的な心の苦しみは感じられなくなりますが、自分を偽っているわけですから、どこかで支障をきたすことになります。
これが多くの場合問題になっているため、心理カウンセラーがサポートしている領域の大きな部分になっていると思います。
我が強くあって、それを子どものように出していれば、社会的なトラブルになりかねません。
それはそれでうまくいかず、別の悩みを抱えるでしょう。
とはいえ、このケースでは心の悩みというよりは、人間関係など関係を改善したいという実践的な悩みになるでしょう。
バランスの取り方
結局、我が強くても、弱くてもしんどいのですが、多くの場合、皆自分でバランスを取って生きていると思います。
但し、このバランスの取り方というのは、意識してやっていないと思います。
何となく自分で調整しているという感じではないでしょうか。
我を押さえながら、周りとバランスを取りながら、ストレスが少ないバランスを何となく取っているのだと思います。
我を否定的に捉えると抑圧するバランスの取り方になる
心を病みがちな人に多く見られるのが、我を否定的に捉えていることです。
我というのは、自分の思い、感情、欲求、価値観、性質といったものですが、自己否定が強いと、自分の我も否定してしまうでしょう。
我を否定的に捉えると、抑圧してしまいがちなので、まずは、自分の我を否定せずにありのまま認めることが大切です。
ともさかりえさんの5つの考え方
こちらのともさかりえさんの記事がとてもよい例だと思ったので、引用させていただきます。
ともさかさんがパートナーを選ぶために以下の5つの考えを箇条書きにしたそうです。
それがこの5つの考え(問い)です。
- 過去の反省は具体的に何が原因だったのか?
- 繰り返さないためには何が必要か?
- 自分の得意なこと、不得意なこと
- どんな自分でいたいのか?
- パートナーに何を求めるのか?
これらを明らかにすることは、自分の我をよりハッキリ理解するということになります。
これは自分自身を知るということです。
自分の我をありのまま認めて、それをできるだけ明らかにしていくことはとても大切なことです。
自分の我を大切にした上で他者の我を大切にする
自分の我をありのまま認めたうえで、境界線です。
つまり、相手の尊重です。
上記の問いであれば、相手は何が得意で何が不得意なのか?
相手はどんな自分でいたいのか?
相手はパートナーに何を求めるのか?
それらを理解した上で、自分のそれとマッチすれば、その相手との相性はよいものになります。
相手のことを考えず、自分の我だけ満たそうとすればそれはうまくいきませんよね。
ですので、自分の我はとても大切ですが、相手の我も同様に大切ですよという当たり前のことができていれば、自分の我を出しながら、周りとの調和も取れていくので、苦しみも少なくなります。
まずは我を認める
我をきちんと認め、自分の我を大切にしながら、周りと調和が取れている状態は、我と周りとのバランスを自然に取っている状態よりもよい状態になります。
前者の例を仕事で表現すれば、自分の好きな仕事をしながら、周りからも認められているような状態で、後者の例は、周りの状況を考えながら、自分のやりたい仕事がどれだけできるかを最適化しているような感じです。
後者ももちろん悪くなく、多くの人がやっていることだと思います。
但し、いろいろな原因でなかなか最適化が難しくなっている人も多いでしょう。
そうなると自分でバランスを取ることができなくなり、過剰に抑圧するか、過剰に我が出るかになってしまいかねません。
いずれにせよ、自分の我を理解することが欠かせないと思います。
そのためには、自分の我を否定せずにありのまま認めることです。
そこがスタートだと私は思います。