心のエネルギーに関してはその重要性を知っていたつもりでしたが、あらためてその重要性に気づかされたのでクライアントさんの許可を取って、シェアいたします。
Aさんの悩みと状態
クライアントさんのAさんは人間関係で相手の発言などを気にしすぎてつらいというテーマでセッションに来られました。自分に自信がない、不安や恐怖に敏感であることを和らげたいという目的でした。
セッションで見ていくと、奥には母親からの愛を求めていることが分かり、寂しさや母親への怒りが抑圧されて、自分を苦しめるような生き方になっていました。
また、非常に繊細な資質があり、それによって苦しめられていたので繊細さを強く否定・抑圧し、鈍感になろうとがんばっていました。
しかし、資質面は変えられないので自己否定や自分責めにつながっていました。
また学生時代の長いいじめの体験があり、そこも自己肯定感が欠ける原因になっていました。
セッションのプロセス
Aさんは非常にセンスがあったということもあって、3回のセッションで母親からの愛情が欠けていたという誤解を解くことができました。また、いじめのトラウマもある程度解消できました。
但し、自身の繊細な面は受け入れることができず、4回目のセッションはそこに向き合うことをやっていきましたが抵抗が強く、ポジティブなイメージワークとエネルギーを入れていくワークに切り替えました。
Aさんがセッション後に体調が悪くなると言っていたのが個人的に引っかかっていました。
エネルギーレベルが低下しているのだと推測しました。
エネルギーを取り戻したときの変化
ここからAさんが素晴らしいのですが、このセッション後に自分のインナーチャイルドの言葉に従って思いっきり休んだのです。
部屋にこもって自分の時間を作ることでエネルギーを取り戻しました。
その結果、食事も食べられるようになり、友達とも遊べるようになり、職場でも言いたいことが言えるようになりました。不思議なことに投影も減っていきました。
投影が減るというのは、自分の中の抑圧したものが緩んだ結果ですが、特に何かを解放していなくてもそれが起こっているわけです。
そこで気づいたのですが、自己肯定感というのは自分の心のエネルギーの充電具合によって変化するものだということです。
心のエネルギーレベルは自己肯定感に大きな影響を及ぼす
その傾向があることは分かっていましたが、心のエネルギーレベルがこれほどまでに影響があるということを知ったのは私にとって大きな気づきでした。
つまり、Aさんは心のエネルギーを回復することによって自己肯定感が上がり、投影も緩み、言いたいことが言えるまでになっていました。自然と他者がどう思うかも以前より気にならなくなっており、仕事で相手の言葉に過度に反応するという悩みがなくなっていました。
また、すごいことにあれだけ嫌っていた繊細さも、あっていいと思えるようになっていたのです。
Aさんに心のエネルギーがあるときとないときの状態を書いてもらいましたので紹介します。
Aさんのシェア
エネルギーあり
困難な状況でも「まあなんとかなるかなあ~」と思えます。細かいことに気づいてもあまり気にならず、「まあそういうこともあるかー」と深く考えないため、エネルギー消費も少ないです。
なにかミスをしたり誰かにマイナスの感情を抱いても、「これが今のわたしなのだからしかたがない。そんなわたしでも今こうして生きていられるんだから、まあ大丈夫でしょ」と気楽に考えられるようになりました。そう考えられるようになる前は、「悪い感情を持っていたとしても、とりあえず罪を犯さなければ問題なし!」と思うようにしていました。極端な考え方ですが、無駄に考えすぎてしまうわたしにはかなり効果があったように思います。笑
あと自己肯定をするたびにエネルギーが増えてるような気がします。
なにかをしてもらったときに、「迷惑を掛けてしまって申し訳ない…!」ではなく、「こんなによくしてくれてありがたいなー」と思うことが増えました。相手によくしてもらったとき、逆に自分が誰かのためになれたときもエネルギーが増えてる気がします。良い人間関係はいつでも”お互い様”なんですね。
自己愛があることが前提になるかもしれませんが、いい感情や悪い感情、感覚など、様々なことによく気づきます。特にいい感覚にはかなり敏感になるので、今ある生活の中からでもかなりのエネルギーを自然と吸収できます。
逆に負の感覚や悪い感情については、気づいてもそれに圧倒されることは少なく、比較的冷静に向き合い受容することができるので、消費するエネルギーが少ないです。なにか考え事をするならこういうときがオススメ!
※全体的に自分の意思で動いているので、うまくいかなくてもダメージが少ないです。
エネルギーなし
自分が大切ではないというよりも、大切云々の概念がなくなるくらいに心身が疲弊しきって頭が回らず、物事がうまくいきません。「もうどうでもいい」という言葉ばかりが頭を過ぎります。
そうするとさらに自信をなくして自己否定が始まり、そこから抜け出そうともがいてさらに疲弊するというループにはまります。エネルギーがあるときならできる思考の切断もできません。イメージワークも厳しいです。不安垂れ流し状態でなすすべも無く、常に強迫観念に追われている感じです。
そんな気持ちを抱く自分もたまらなく嫌で、かといってもがくのももう苦しいので、これ以上心が傷つかないように人を避けがちになります。マイナスの感情や感覚、体調の変化にとても敏感になるので、普通に生活するだけでもどんどんエネルギーを消費します。
自分としては、向き合うことこそ解決の一歩!と思っているので、どんなことでもとにかく自分と向き会おうとするのですが、エネルギーが少ないためにさらに疲労感が増します。今思えば、向き合わなくていいところまで向き合っていたことがかなりありました。それでもやめられなかったのは、このエネルギー不足の状態がとにかく辛いので、一刻も早くいい状態を取り戻したかったから。それしか状況改善の方法が思いつかなかったので、本当にエネルギーが尽きるまで向き合うことをやめることができませんでした。
※もはや自分と向き合うこと自体がビリーフになっていたかもしれません。その他に関してもビリーフにしたがって行動することが増えるため、なにをしても辛くてたまりません。
エネルギーなしだったときの対処
そうして段々エネルギーが満ちてくると、細かいことで気持ちがブレることが減ってくるので、物事の本質が見えてきます。今まで抑圧していた感情ですら、抵抗なく理解と納得ができて、ストンと胸に落ちてくるような感覚です。また、自分にも幸せになる権利があることが受容でき、好きなことと嫌なことが明確になってくるので、自然と好きな方、心地の良い方を選ぶようになり、よりエネルギーも満ちてきたように思います。
少し話は逸れますが、今回の件と同時期に読んでいた本があり、その中に「これを守れば生きていける、という自分なりのフォーム(生き方)を見つけ、死ぬまで維持していくこと」「人生は通算して9勝6敗が理想」という言葉がありました。
そのときに決めた「完璧を望まず、まずは自分を大切にする」という決意を意識して生活していたのも、エネルギー回復にはよかったのかもしれません。よっしーさんのハートに従うのと同じ感じですね。
こちらの本は色川武大先生の「うらおもて人生録」という本です。5年ほど前に友人からもらったもので、人生に行き詰まる度に読んでいましたが、今回ようやく本の意味を理解できました。
もし機会があればぜひ読んでみてください。古い本なので今の時代には合わない部分もあるかもしれませんが、生きづらい人たちが生きていくための方法が、優しい文体書かれています。
エネルギーあり、なしの状態の記述はとても参考になると思います。
私はブログで自分と向き合う重要性をたくさん述べていますが、エネルギーレベルが低いときは逆効果になることも分かると思います。今後は私自身、ここを区別して向き合うことを勧めていきたいと思いました。
そして、エネルギーなしだったときの対処法は本当に素晴らしいですね。
自分が心地よいエネルギーを受け入れ、心地悪いエネルギーは避けることが重要です。
このとき、自身の繊細さが役立ちます。よいエネルギー、悪いエネルギーを見分けることができるからです。
そしてAさんは4回目のセッションの後からエネルギー回復までのストーリーを書いてくださいました。
これも非常に参考になりますのでぜひ読んでください。
エネルギー回復までのプロセス
それでも、その時のわたしは心身の疲弊をそこまで深刻には捉えておらず、辛いながらも総合的に見れば調子はいい方だよなあ~なんて思っていました。
ところが1月の上旬にカウンセリングに伺ったところ、今までのように感情にアクセスすることができなくなっていました。課題として自分のイメージ像(わたしの場合はうさぎでした)を癒すワークを続けることになりましたが、帰宅途中に心の中でうさぎに声をかけてみると「もう無理、頑張れない、休みたい、そっとしておいてくれ」と言うだけでこちらを向いてもくれません。
仕事が認められなかったこと、思っていたよりも心の状態が良くなっていないこと、病気の自分。今までなにがあってもなんとか受け入れていたつもりでしたが、うさぎの言葉を聞いて「もう疲れた」と心から思いました。全部投げ出したい、逃げ出したい。いなくなりたい。頑張っても全部無駄だった。
その日は泣きながら眠り、翌日も一日中部屋で寝ていました。悲しく虚しい時間でしたが、このときようやく「これが今の自分の限界なんだ」と認めることができました。
そしてここから少しずつ変わり始めます。
とにかく無理はやめ、嫌と思うことからは可能な限り逃げてやろうと思うようになりました。自分の限界を知り不完全な自分を受容できたことで、「頑張れない自分も逃げる自分もしょうがない。だってできないものはできないし、嫌なものは嫌だから」そんな気持ちが自然と湧いてきます。ポジティブな諦め、開き直りのようなものでしょうか。
それ以降、家族と顔を合わせたくなかったら部屋に籠る、外に出る。食べたくないものは食べない。聞きたくないものは適当に聞き流す。無理に笑わない。生きている以上避けられないものもたくさんありましたが、可能な限り心の負担になるものから逃げました。
はじめのうちは、ちゃんと向き合わずに逃げてばかりで…という罪悪感や、誰かに悪く思われているのでは…という恐怖が常にありました。それでも、こんな生き方でも案外普通に生活できていることに気づきます。それどころから今までよりもリラックスした生活が送れるようになっていました。
具体的な変化としては、「言いたいことを言い合い、円滑な人間関係が築ける」「困難な状況でも焦らずに構えていられる」「感情的にならないので冷静な判断ができる」「良い感覚に敏感になる」などがありました。
一番嬉しかったのは、自分の大切な人たちを「好きだなあ」と心から思えるようになったこと。今でも羨ましい、妬ましいという気持ちがなくなったわけではありませんが、そんな気持ちがあっても、自分はこの人たちが好きなんだと改めて気づくことができました。
自分と向き合うことはとてもつらく苦しいことではありますが、なにかのタイミングで受け入れることができたとき、きっと変化が起こるはずです。
カウンセリングを受けるまでは数ある体験談や感想も半信半疑でしたが、今回心の変化を実際に体験し、心を癒すことの重要性を改めて実感しました。
よっしーさんのもとでカウンセリングを受けて本当によかったと思います。今後はこの状態を維持できるよう、自分と付き合っていこうと思います。
この度はありがとうございました。
ぜひ心のエネルギーを意識してみてください。
エネルギーレベルが高いとき、自然に自己肯定感が高くなります。
そして、そのときこそ実は自分の心の傷に向き合う最大のチャンスです。こういう状態のときは心の傷が癒えるのが早いです。するともっとセルフラブが高くなっていき、エネルギーが落ちたときでも苦しみが少なくなるでしょう。また、自分自身を取り戻すことが早く、やりやすくなります。
心の傷に向き合うことはセルフラブを高めるために必要なプロセスですが、心のエネルギーレベルが低下しているときは向き合う時期ではなく、むしろ逆効果になりかねないので、まずはエネルギーの回復をやっていくことが重要です。
エネルギーをどうやって回復させるかはAさんの実体験がすごく参考になるでしょう。
Aさんの体験を通じて私自身すごく勉強になりました。
このようにシェアしてくださったこと、深く感謝しています。ありがとうございました。