「潜在意識の望みどおりのことが現実で起きている」を解説する
そんな言葉を聞いたことがある人もいるかもしれません。
「潜在意識の望みどおりのことが現実で起きている」
みたいな言葉も。
これは言っていることは間違ってないと思います。
ただ、非常に誤解を招きかねません。
ボク自身の体験から来る理解なので間違った解釈かもしれませんが、この言葉をちょっと解説してみたいと思います。
文字通り受け取ると反発したくなるのが自然
この言葉を文字通り取ると、腹が立つ人もいらっしゃるでしょう。
「こんなに苦しいのに、こんなに理想と違うのに、何が最善だ!」
「災害に遭ったことも望みどおりなのか!」
そう思うのが自然ですね。
理想を潜在意識がかなえてくれるわけではない
でも、理想を潜在意識がかなえてくれるわけではないんですよ。
ここがミソです。
引き寄せの法則とか、潜在意識をコントロールすれば願望がかなう…みたいなものは、ここを取り違えているんです。
すでに潜在意識の望み通りに行動している
すでに、私たちは潜在意識の望みどおりに行動しているのです。
言い方を変えれば、潜在意識の望みはすでにかなっているのです。
望みがかなっている範囲とそうでない範囲
ただ、望みがかなっているというのは、すべての状況が望みどおりになっているというわけではありません。
あくまで私たちがコントロールできる範囲のことです。
自然災害などは明らかにコントロールできません。
状況や環境、他者もコントロールできる範囲は少ないです。
潜在意識というのは、私たちの心の奥の思いです。
この思いが行動に影響を与えているので、当然、人生への影響力はかなり大きいものとなります。
とはいえ、思いや行動でできることとできないことがあります。
できないことまでできると信じてしまうと、苦しくなります。
でも、それができると主張している本やブログもありますね。私は反対の立場です。
潜在意識を変えて理想の現実を引き寄せようとする発想は無理がある
では、私たちのコントロールできる範囲であれば、潜在意識を変えれば理想はかなえられるとしたら、潜在意識を自由に変えようと考えるでしょう。
しかし、それはうまくいきません。
「潜在意識を変えて、理想の現実を引き寄せよう」という発想は、「潜在意識は自由にコントロールできるものだ」という前提があります。
でも、この前提はかなり無理があるのです。
そのため、残念ながら、潜在意識を変えて理想の現実を作るとか、引き寄せるとかは難しいのです。
もちろん、ゼロではなくてそういう事例もありますが、そうならないことの方が多いです。
潜在意識とは何か?
潜在意識というと、何か自分とは違うようなイメージをもたれるかもしれません。
でも、別の言葉で言うと、単なる本音なんです。
「本音の思い=潜在意識」、と言ってもよいでしょう。
ただ、本音の思いに気づいていないだけのことです。
潜在意識の思いが現実化するというのは実は当たり前のことを言っているに過ぎない
だから、潜在意識の思いが現実化するというのは何もすごいことを言っているわけではないのです。
ごく当たり前のことを言っているにすぎません。
そう言い換えるとごく当たり前の概念になります。
私たちはコアビリーフに従って行動している
「じゃあ、こんな不幸な人生が、私の本音って言うの???」
という疑問があるでしょう。
当然の疑問ですね。
でも、残念ながら私たちは「自分の本音の思い」=「コアビリーフ」に従って生きています。
コアビリーフ通りに行動しているのです。
コアビリーフは一つだけではありません
例えば、不幸な人生を送っている人は、本音はこう感じているかもしれません。
セラピーでは、この思いにメスを入れていくわけですが、ここを簡単に変えることができれば、望みどおりの生き方ができるかもしれませんね。
でも、それは2つの理由で簡単には行きません。
コアビリーフを簡単に変えられない2つの理由
私たちは本音を巧妙に隠す
1つはコアビリーフを変えるには相当時間がかかるということです。
私たちは、本音を巧妙に隠します。本当の恐れに向き合わないように何重かのバリアを持っています。本当に見たくない恐れに向き合いたくないために、行動ルール(ビリーフ)を作って、向き合わせないようにします。1つだけではなく、複数あるのでやっかいです。
そのため、本音に行きつくまでに時間がかかること。
そして、その本音で長年生き続けたため、その思いを手放すのに強い恐怖を生じることから、一筋縄ではいきません。
ここを簡単に変えられると主張している人は、はっきり言って心の仕組みを全く分かってないと断言できます。
テクニックとかセラピーツールの良し悪しとかそういうレベルではありません。
そもそも、自分が本当に大事にしている本音が、何らかのテクニックで簡単に変えられたらそっちの方が恐ろしいと思います。
最終的には自分次第とセラピストが言うのは、セラピストの逃げ口上ではなく、自分の本音は自分次第だからです。
他の誰かがコントロールできるものではありません。但し、有能なセラピストは本音に気づかせやすくするスキルを持っています。
そもそも本音は簡単に変わるものではない
もう1つの理由ですが、コアビリーフというよりも本音という言葉を使った方が腑に落ちやすいと思います。
よく考えてもらいたいのですが、そもそも本音ってそう簡単に変わりますか?
たとえば、「わー、このデザインかっこ悪いな」と思ったとしますね。
これを「このデザインかっこいい!」に変えることができますか?
よほどのことがない限り、変わらないと思います。
本音を自由自在に変えられるということがそもそも無理です。
自由自在に変えられるというのは、本音ではなく、単なる表面の思い込みです。
「このデザインを作ったのは佐藤さん」
→「実は鈴木さんという人が作ったって本に書いてあった」
「このデザインを作ったのは鈴木さん」
こういう感じで論理や証拠によって思いを変えることができます。
しかし、本音というのは、非常に強い感情がくっついていることもあれば、勝手に湧いてくる衝動みたいなものもあり、論理や証拠では変えられないのです。
なぜ、ネガティブな本音を持っているのか?
では、コアビリーフですが、たとえば、なぜ下記のような本音を持っているのでしょうか?
いろんな理由があります。
養育環境は大きいです。
乳幼児のときに両親から十分な愛情を受けなかったら、いびつな本音になりますよね。
傷ついて、傷ついて、でも守ってくれる人がいなかったら、人生観やセルフイメージがネガティブになるのはごく当たり前です。
人格や生き方に影響を与えるビリーフのほとんどが7歳以前に作られるので、大人になってからも精神的には子ども時代を引きずっています。
コアビリーフは自分を守るためにある
ただ、ここで大切なのは、このコアビリーフは実は自分を守るためにあるものだということです。
そのときはこう思わなかったら生きていけなかったわけです。
生きるためにはそれが最善でした。
だからその思いを選んだわけです。
もっと状況がよければ、もちろんそれは最善ではなかったです。
でも、その状況では最善でした。ある意味仕方がないことでした。
問題はコアビリーフが時代遅れになっていること
だから、コアビリーフを持つことで、自分を最悪から守ってくれたわけですが、問題は、その危機が過ぎ去った後も依然として影響力を強く持っているので、今は守ってくれているどころか、害を与えているものになっているということです。
ネガティブなコアビリーフを手放すには癒しが必要
ここで必要なのが「癒し」です。
一つの方法ですが、イメージワークとタッピングを併用して、当時の傷ついた自分の苦しい感情を解放し、そのとき満たされなかったニーズを満たしてあげれば、そのコアビリーフで自分を守る必要がなくなるわけです。
文章で書くと簡単ですが、実際には抵抗もたくさんあり、一筋縄ではいきません。
そのとき、本音は自然に変わります。
そして、思いや生き方が変わります。
新しい本音に従って生きます。
私たちは、実は、昔も今もずっと本音の思いで生きていたのです!